東京商工リサーチが2021年の新潟県内企業の倒産状況を公表、倒産件数は47件で集計開始以来過去最少

東京商工リサーチ資料より

株式会社東京商工リサーチ新潟支店は6日、「2021年(1月~12月)新潟県内企業倒産状況(負債総額1,000万円以上)」を公表した。それによると、2021年(1月~12月)の新潟県の企業倒産件数(負債総額1,000万円以上)は47件、負債総額は73億5,300万円となった。

47件という倒産件数は、前年比で27件減(36.48%減)であり、1962年の集計開始以来60年間で1963年と並んで過去最少。件数としては4年連続の減少となった。

負債総額は、前年比673億9,700万円減(90.16%減)で、過去60年間で56番目。1990年以降の32年間では過去最少となった。また、負債総額10億円以上の大型倒産は1件発生したものの、前年の5件から大幅に減少し、「1億未満」の比較的小規模な倒産が過半数の59.6%を占める。

産業別では、10産業のうち「サービス業他」が13件と最多。「製造業」12件、「小売業」10件、「卸売業」4件、「建設業」・「運輸業」各3件、「不動産業」が2件。10産業のうち7産業が前年同期比で減少し、「運輸業」のみ1件から3件へ増加した。「金融・保険業」(0件)と「不動産業」(2件)は前年同期比で同数だった。

原因別では、「販売不振」が35件と最多。つづいて「既往のシワ寄せ」7件、「その他(偶発的原因)」2件、「放漫経営」・「他社倒産の余波」・「設備投資過大」が各1件ずつ。

形態別では、「破産」が38件と最多(構成比80.9%)。「特別清算」・「銀行取引停止」各3件、「内整理」2件、「民事再生法」1件となった。

東京商工リサーチ新潟支店はレポートの中で「新型コロナウイルス感染拡大に伴う国や自治体、金融機関による資金支援が奏功し、倒産件数の抑制が図られた。また、大型倒産(負債総額10億円以上)の発生も1件にとどまり、負債総額も前年比で10分の1程度に抑えられた」と語る。

一方で、同社が2021年12月16日に発表した国内106銀行「リスク管理債権状況」調査に触れ、「銀行の『リスク管理債権』や『貸倒引当金』は前年同期比で増加しており、長期化するコロナ禍で業績回復が思うように進んでいない状況が窺える」という。加えて、同社が12月1日から9日に実施した「第19回コロナアンケート」によると、「実質無利子・無担保融資」の調達により「過剰債務」となり、借入金の返済が「全く問題ない」と回答した中小企業は50%に満たない状況にある。

こうした状況も踏まえ同社は「感染力が高いとされるオミクロン株が国内でも増加傾向にあり、新型コロナウイルス感染第6波の発生が懸念される状況にあるほか、長引くコロナ禍で生活様式の変化も見られ、サービス業などにおいてはかつての水準に集客を戻すことは難しいという声も聞かれる。業績悪化で借入金の返済目途が立たず、経営者の事業意欲低下で会社整理に踏み切るケースも想定され、倒産が増勢に転じる可能性は否定できない」と分析している。

東京商工リサーチ資料より

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