長崎県知事選 県民500人アンケート<3> 暮らし「満足」75% 直近10年「苦しくなった」28%

本県での暮らし満足度

 長崎県民の4分の3が長崎県での暮らしに満足-。知事選を前に長崎新聞社が有権者500人に実施したアンケートでは、こんな傾向が明らかになった。ただ、直近10年間でどうなったかも尋ねると、約3割が「苦しくなった」と答え、厳しい現実をうかがわせた。
 県内での暮らし満足度を5択で質問。「大いに満足」「どちらかといえば満足」が計75.6%に上った。理由として多く挙がったのは、生まれ育った地元への愛着や豊かな自然など。その一方、「非常に不満」「どちらかと言えば不満」は計13.2%にとどまり、「どちらとも言えない」は11.2%だった。
 民間シンクタンクの2021年の都道府県別魅力度ランキングで本県は8位に入った。この高評価を裏付けるように、大村市の50代団体役員男性は「観光立県の印象で『長崎=良い所』というイメージ。県外に行った時に誇りを感じる」。対馬市で水産業などを手掛ける会社役員の60代女性も「長崎というブランドイメージが役立つ」と胸を張った。
 ただ、「人が親切」「街の規模が適当」など暮らしやすさを評価する県民からも「大学生が県内就職したいと思える企業が少ない」(佐世保市・30代公務員男性)など課題が挙がった。不満層からは「街は好きだが水道、家賃、ガソリン費など生活費が高い」(同市・20代大学生男性)、「子どもの就職先がなく、みんな県外に行ってしまった。老後をこのまま夫婦でやっていけるか心配」(東彼波佐見町・60代主婦)といったぼやきが漏れた。若者の娯楽の場や交通の充実を求める声も多かった。
 70%超の人が満足感を抱く一方、直近10年間の暮らしぶりに目を向けると厳しさも浮かび上がる。五つの選択肢のうち最多は「変わらない」の48.2%だが、「少し苦しくなった」「非常に苦しくなった」は合わせて28%。「少し楽になった」「大いに楽になった」の計23.8%を上回った。

10年間で暮らしはどうなった

 中でも40~60代は「苦しくなった」割合が30%以上と比較的高い。子育て世代を中心に「世帯収入は増えたが食費や学費も増えた」(西彼長与町・40代主婦)、「給与は上がらないのにガソリン代などは高くなり、貯金できない」(長崎市・40代団体職員女性)など切実な訴えが寄せられた。新型コロナウイルス禍が収入減に直結した人も少なくなかった。
 「私が子育てしていた時はシルバー福祉に力を入れられ、現役を退く時になったら子育て支援が強くなっている。踏んだり蹴ったり」(佐世保市・50代講師女性)との嘆きもあった。


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