長崎県知事選 県民500人アンケート<1> 中村県政「評価」4割 堅実、公平さに好感・成果乏しいの声も

中村県政の評価

 長崎県の未来を託すリーダーを決める知事選の告示(2月3日)まで1カ月を切った。長崎新聞社は昨年12月、知事選への関心や県政の課題に対する賛否など県民の意識を探るため、18歳以上の500人にアンケートした。まずは中村県政3期12年の評価から-。

 知事選は今のところ、4選を目指す中村法道氏(71)に、元厚生労働省医系技官の大石賢吾氏(39)=五島市出身=と東京の会社社長、宮沢由彦氏(54)の新人2人が挑む構図となっている。現職の実績に対する批評は、有権者の投票行動にも影響する要素だ。
 アンケートでは、中村県政の評価について五つの選択肢を設定した。最も多かったのは「ある程度評価する」(34.2%)。「大いに評価する」(5.8%)と合わせて40%が前向きに捉えた。これに対し、「あまり評価しない」(21.4%)と「全く評価しない」(5%)は計30%に満たなかった。残る「どちらとも言えない」は33.6%だった。
 具体的な理由も聞いた。島原市の50代会社員女性は「偏りがなく、いろんな事業へ気配りしている」、西海市の70代自営業男性は「県民の立場に立った農業政策をやっている」とそれぞれ好意的。大村市の60代弁護士男性は、九州新幹線長崎ルートや西九州道などのインフラ整備について「乗り遅れている感がない」などとして「『不可』が少ない」と指摘した。こうした元県職員としての堅実さや公平さを高く評価する声が目立った。
 一方、評価しない理由としては、西彼時津町の70代団体役員男性は「これといった業績が見えない」と指摘。ほかにも「決断力が乏しい。石木ダム、新幹線ももっと早めに進めるべきだった」(佐世保市・40代自営業女性)、「人口減少や若者対策で結果が出ていない」(東彼東彼杵町・50代主婦)といった、県政の重要課題の進捗(しんちょく)に厳しい目が注がれた。

重視する「知事の資質」

 新型コロナウイルス対策を巡っては見解が分かれた。“支持層”は「迅速に対応し、大都市の二の舞いにならなかった」(諫早市・10代大学生男性)、「そつなくやった」(壱岐市・60代会社員男性)とする。否定的な立場からは「独自性のある政策がなかった」(佐世保市・20代会社員女性)、「機動力の高い北海道知事を見ているとうらやましかった」(長崎市・40代公務員女性)などが寄せられた。
 「評価する」の回答割合を年代別で比較すると、50代(50.5%)、60代(47.6%)、70代以上(44.5%)と中高年層で高い。その半面、40代(36.5%)、30代(37.4%)、18~29歳(28.6%)と若い世代ほど低かった。
 気になるのは「どちらとも言えない」と答えたのが18~29歳の64.8%、30代の40.4%に上った点。理由は「どこの町に住んでも県政を身近に感じない」(南島原市・30代団体職員男性)など。特に18~29歳は「よく知らない」など無関心もしくは情報不足の傾向がうかがえた。
 アンケートでは併せて「知事の資質として何を最も重視するか」も質問した。最も多かったのは「強いリーダーシップ」(30.6%)。さらに「発信力」(15.6%)、「政策立案能力」(13.6%)-と続いた。

◎調査方法

 アンケートは18歳以上の有権者500人を市町ごとの人口比で無作為に抽出。昨年12月1~20日、記者が面談または電話で尋ねた。設問は選択式と記述を組み合わせ、それぞれ選択した理由を聞いた。


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