越中さん追悼本出版 本紙連載「ここにおります」など収載

「ありがとう 越中さん」(長崎文献社)

 9月に99歳で亡くなった長崎市の郷土史家、越中哲也さんの追悼本「ありがとう 越中さん」(長崎文献社)が出版された。本紙文化面で連載した越中さんの聞き書き「ここにおります」などを収載している。
 同連載は、越中さんが98歳になった2019年12月から約1年間、全50回連載。長崎で生まれ育った幼少期から戦時中の思い出、戦後の郷土史家としての歩みや文化人らとの幅広い交流などを聞き書きした。
 追悼本は同連載50回分のほか、「越中哲也さんの実像を語る」として関係者の証言特集を掲載。同市長崎学研究所の德永宏さん、長崎純心大学長の片岡瑠美子さん、NBC長崎放送の林田繁和さん、元長崎歴史文化協会理事の山口広助さん、活水女子大特別教授の下川達彌さん、越中さんの長女の越中桐さんの6人が寄稿した。
 越中桐さんは「父越中哲也の『それでも日常』」と題し、あまり知られていない家庭でのエピソードや、亡くなるまでの様子を紹介。「若いころは、さんざん母に迷惑のかけ通しだった父だが、最後は家族に何ひとつ迷惑もかけずに逝った。それは、最後の家族孝行だったかもしれないけれど、ぜったいに人に迷惑をかけたくないという父のプライドだったかもしれない」と振り返った。
 四六判、226ページ。1320円。県内の書店で販売中。

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