5割超が2回接種後に感染 抗体量減少か 栃木県内 12月以降

県内の12歳以上の新型コロナ感染状況

 栃木県内で昨年12月~今月4日までに新型コロナウイルスに感染した人(12歳以上)のうち、53.4%がワクチン2回接種後に感染する「ブレークスルー感染」だったことが、10日までの県のまとめで分かった。10月は13.9%、11月は28.1%で、倍々に増えている状況だ。県は時間の経過に伴い抗体が減り、2回接種を終えても感染リスクが高まっているとみて、3回目接種に向けた取り組みを加速させている。

 ワクチン接種が可能な12歳以上の県内感染者を分析した。10月は173人のうちブレークスルー感染は24人、11月は32人のうち9人だった。12~1月は148人中、79人と大幅に増加している。

 一方、12~1月の感染者について10万人当たりに換算すると、2回目接種者の感染は5.1人。これに対し、2回目未接種者は41.9人と8倍以上の開きが出た。ワクチン未接種の12歳未満は33.2人だった。

 県の担当者は「ワクチン接種により発症が抑えられていると言えるが、時間がたって下がった抗体価を再び上げる必要がある」と説明する。

 3回目接種に向け、県は3カ所の県営会場を当初予定より前倒しで開設。2~6月の接種予定者数は宇都宮市のとちぎ健康の森が8万3千人、JR小山駅西口の商業施設「ロブレ」が4万人、矢板市文化会館が2万5千人で、計14万8千人分となる。当初予定の11万人から拡大した。

 県営会場で使用するワクチンは米モデルナ製で、1、2回目に異なるメーカーのワクチンを受けた人も接種が可能。福田富一(ふくだとみかず)知事は「交差接種でも抗体価が十分上昇する効果があり、安全性にも重大な懸念は認められないとの報告もある」とし、感染防止と重症化予防に向け速やかな接種を呼び掛けている。

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