走り去った列車たち #5 189系

20141231 189系N101編成 関山ー二本木 P:鉄道博士

こんにちは!! 鉄道博士だよ!!

今回は、国鉄特急型電車189系を取り上げます。信越本線 横川ー軽井沢間の碓氷峠は、国鉄最大の66.7‰の急勾配区間であったため、この区間を通る電車は最大8輛編成までに制限され、EF63形電気機関車の推進・牽引による無動力運転が行われていました。しかし、協調運転用機器を搭載することによって、最長12両まで運転が可能となる交直流特急形電車489系が製造され、上野〜金沢を信越本線経由で運転する特急「白山」に投入されました。そこで、直流区間のみを走るL特急「あさま」「そよかぜ」で運転されていた181系の置換えと輸送力増強を目的に、直流区間専用の協調運転機器搭載車を新製することになりました。ベースとなった183系1000番台の登場から、約半年後の1975年6月に落成したのが189系です。

189系の本来の用途である、碓氷峠を越える特急列車は、北陸新幹線長野開業に伴い、1997年9月30日をもって廃止となりました。その後、189系は、所属先の長野総合車両所(現 長野総合車両センター)から一部の車両が転出したり、廃車になるものも出始めました。

北陸新幹線が金沢に延伸された2015年3月ダイヤ改正までは、長野ー直江津間を結ぶ快速・普通「妙高」に、長野総合車両センター所属の189系3本(N101編成〜N103編成)が充当されていました。6輛編成化され、特急「あさま」時代(9輛・11輛編成)より短い編成になりましたが、風光明媚なこの区間を駆け抜ける189系は魅力的でした。

20141108 189系N101編成 EF64-39 豊田車両センター P:鉄道博士

上の写真は、長野総合車両センターから、豊田車両センターに出張し、一般公開のイベントでEF64-39と並んだ189系N101編成です。「あさま」の方向幕を出していました。

20150101 189系 北新井 P:鉄道博士

この写真は、2015年の元旦に、北新井駅で撮影した普通「妙高」です。この日は大雪で、雪国らしい様子を撮影することができました。189系は、183系1000番台同様に、耐寒耐雪構造を採用していますので、このような大雪でも問題なく走ることができました。

20150523 189系N101編成・N103編成 長野総合車両センター P:鉄道博士

2015年3月の北陸新幹線金沢延伸に伴い、並行在来線である信越本線 長野ー直江津間が、しなの鉄道とえちごトキめき鉄道に経営移管され、189系が充当されていた快速・普通「妙高」は廃止されました。それに伴い、国鉄特急色のN101編成と「グレードアップあさま色」のN103編成は廃車となり、解体されました。「グレードアップあさま色」のN102編成はこのダイヤ改正後も、塩尻発 長野行き 快速「おはようライナー」や、中央本線・篠ノ井線を走る多客臨に充当されるため、生き残りました。

20151031 189系N102編成 383系 平瀬(信)P:鉄道博士

20151227 189系N102編成 姨捨ー桑ノ原(信) P:鉄道博士

20151231 189系N102編成 姨捨 P:鉄道博士

20151107 189系M52編成・N102編成 豊田車両センター P:鉄道博士

一方、豊田車両センターにも、波動輸送用の189系6輛編成が3本存在しました。「あずさ色」のM50編成、国鉄特急色のM51編成、「グレードアップあずさ色」のM52編成です。

20160807 189系M50編成 三つ峠ー寿 P:鉄道博士

この写真のように、豊田車両センター所属の189系は、富士急行線に乗り入れる「ホリデー快速富士山」に充当されることが多かったです。風光明媚な富士急行線内を、国鉄特急形電車が走る姿は魅力的でした。

20170416 189系M50編成 三つ峠ー寿 P:鉄道博士

20170319 189系M50編成・M52編成 河口湖 P:鉄道博士

20160526 189系M50編成 群馬八幡ー安中 P:鉄道博士

豊田車両センター所属の189系は、群馬県内に団体列車で入線することもありました。上の写真は、信越本線に乗り入れた団体列車の回送列車です。

20160614 189系M51編成 高崎 P:鉄道博士

上の写真は、高崎駅南電留線に留置されていた189系M51編成です。方向幕は「あずさ」を表示しており、往年の特急列車を彷彿とさせました。

20160615 115系 189系M51編成 前橋 P:鉄道博士

上の写真は、前橋駅で115系と並ぶ、189系M51編成です。今では、どちらも見ることができなくなってしまいました。

20170504 E127系 189系N102編成 信濃木崎 P:鉄道博士

上の写真は、大糸線 信濃木崎駅で停車中の189系N102編成です。多客臨「ムーンライト信州」の返却回送を、鷹狩山展望台から超望遠レンズで俯瞰撮影しました。

豊田車両センターの189系3本は、2018年に引退しました。そして、最後に残った長野総合車両センターの189系N102編成は、2019年3月に引退しました。N102編成は、引退後も解体を免れ、長野総合車両センターで余生を送っています。

20191005 189系N102編成 長野総合車両センター P:鉄道博士

20191005 189系N102編成 長野総合車両センター P:鉄道博士

20191005 189系N102編成 長野総合車両センター P:鉄道博士

2019年10月5日に行われた、長野総合車両センターの一般公開では、検修庫内で189系N102編成が展示されました。N102編成の車籍は失われてしまいましたが、今後も保存を続けていただきたいと思います。

鉄道は最高のエンターテイメント❤️

【著者】鉄道博士 / Dr. Railway

生後2ヶ月より、鉄道を眺め始め、列車の音が、子守唄代わりになる。 3歳で、交通博物館(鉄道博物館の前身)のリピーターとなる。保育園に登園前の早朝から、最寄駅に年200回ペースで通い始める。 5歳で、鉄道に関するニュースが読みたい欲で、毎日、複数の新聞を読むようになる。小学校入学までには、ほとんどの漢字を読めるようになる。 小学校の入学祝いに「国鉄監修 交通公社の時刻表(現 JTB時刻表)」を買ってもらい、全ページ読破し、旅行の計画を立てるようになる。 10歳で、一眼レフでの鉄道写真撮影をスタート。学生時代は、鉄道の写真をひたすら撮る生活を送り、塾等も行かず、法政大学へ入学。 その後も、企業の取締役、海外との業務提携等の仕事をしながら、鉄道写真を撮り続け、鉄道誌に寄稿を続ける。 1949年以降の日本の車輌であれば、数百種類の車輌の解説が可能。それぞれの特徴や魅力も含めて何でも楽しく解説する姿から”鉄道博士”と呼ばれるように。

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