新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染急拡大で、昨年に続きコロナ禍での実施となった大学入学共通テスト。感染対策にも注意を払い、勉学に励んできた栃木県内の受験生は15日、本番に臨んだ。会場に駆け付けた県内高校の教諭らも感染に気を付けながら、一人一人をねぎらい送り出した。一方、東大前で受験生が切り付けられた事件を受け、受験生からは不安の声も漏れ聞こえた。
県内8大学9会場のうち、最多の約1900人が集まる宇都宮大峰キャンパス。午前7時半、冬晴れの朝を迎えた受験生らが受験票を握りしめ、続々と正門付近に集まり始めた。
「マスクを着け続けて耳が痛くなりがちでしたが、塾の自習室にこもって頑張りました。いつも通りにやります」。宇都宮高3年松本和樹(まつもとかずき)さん(17)は意気込んだ。オミクロン株の急拡大は「母がすごく気にしていた」と明かし、感染しないよう家族全員が緊張した日々を送ったと振り返った。
娘を正門まで送り届けた宇都宮市、40代女性はオープンキャンパスに行けないなど新型コロナの影響があったと明かした。「気持ちが乗り切らない時もあっただろう。平常心で挑んでほしい」と、他の受験生に紛れて試験教室を目指す子の背中を見つめていた。
会場付近では学校や学習塾の関係者らが激励するのが慣例だったが、コロナ禍のため昨年から自粛されている。正門前で生徒を出迎えた宇都宮短大付属高の進路指導部長熊倉誠一(くまくらせいいち)教諭(59)は「本当はもっと元気づけたいが、仕方ない。強い気持ちで挑んでほしい」とエールを送った。
一方、東大前では朝、男子高校生が受験生らを切り付けた。宇都宮短大付属高3年大築陽菜(おおつきひな)さん(17)は「両親が安全面をすごく心配していた。自分もちょっと怖い」と顔を曇らせていた。