〈動画あり〉パリ五輪へ決意 W杯23歳以下、初代年間王者に BMXレーシング、中井飛馬選手 中川市長に報告

 自転車競技BMX(バイシクルモトクロス)レーシングのワールドカップ(W杯)でU―23(23歳以下)男子のシリーズチャンピオンに輝いた上越市飯出身の中井飛馬(あすま)選手(21、日本体育大3年)が年明けに帰郷し、14日に市役所を訪ね、中川幹太市長を表敬訪問した。W杯シリーズ王座に就いた経過と喜びを報告し、有力視される2024年のパリオリンピックに向けた抱負を話した。

シリーズチャンピオンのトロフィーと上越市のスポーツ振興奨励金を手にする中井選手(左)と中川市長

 中井選手は新設されたW杯、U―23部門シリーズで、5月開幕の第1、2戦を欠場したものの、第3、4戦を連勝、第5戦以降も2位、2位、4位、10月の最終第8戦は優勝と好成績を連続し、初代年間王者となった。W杯のBMXレーシング部門で日本人が総合優勝するのは初めての快挙。

最終第8戦、スタートからトップに立ち、逃げ切った中井選手(左、日本自転車競技連盟提供)

 表敬訪問した14日、欧州や南米で行われたW杯の戦いを振り返り、「レベルがすごく高くて、少しのミスも許されない。その中でもうまくまとめることができた」と納得の表情を見せた。

中川市長を表敬訪問し、レースの動画を見せる中井選手

 今年は世界選手権(7月、フランス)での優勝を第一の目標に挙げる。世界選手権後からはパリ五輪の選考に関わる、最上位のエリートクラスでの戦いとなる。「(パリ五輪で)金メダルを取ることが目標。とらわれ過ぎず、目の前の目標をクリアしていく」と決意する。

 昨夏の東京オリンピックは代表補欠として備え、競技会場にいた。「オリンピックは緊張感がすごくて、空気が重く感じ、他の大会と違う雰囲気。見ている方も緊張した。メダルが決まった瞬間は感動的だった。プレッシャーは大きいが、あらためて憧れを抱いた。この場に優勝候補として来たいなと思った」と強く刺激を受けた。

 自身の強みについて「勝負強さ」といい、「昨年はプレッシャーをいい方にもっていった」と胸を張る。半面、課題について「外国人のトップ選手と比べ、スタートはパワー負けする。スタートで出遅れるので、改善できればトップ争いができる」と見据える。

 上越市には金谷山公園BMX場という国内屈指のコースがあり、自身幼い頃から練習し、実力を磨いてきた。「BMXが楽しく、それだけをやってきた。熱中できることを探してのめり込んでほしい」と子どもたちへの思いも話した。

 中川市長への表敬は母・章子さん(50)と共に訪れた。市長にレースの動画を見せ、「8人で一斉スタートし、2秒で60~65キロのスピードが出る」「接触やクラッシュが多い競技」と特性を紹介した。「スケートボードやBMXなど、ストリートカルチャーのスポーツが人気。上越にはすごくいい場所がある」とPRした。

 5歳からBMXレーシングを始め、2017年の世界選手権ジュニア部門で日本人最高の4位、2018年の世界ランキング・ジュニアエリートクラス1位、2019年の全日本選手権エリートクラスで優勝。城北中から日本体育大荏原高を経て日本体育大在学。練習拠点をアメリカに置き、世界各会場を転戦している。身長180センチ、体重76キロ。

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