佐世保の学童クラブ 閉鎖の可能性に焦り 事故や騒音懸念、候補地が反対…開設場所定着せず

子どもたちが集まる放課後児童クラブ。新年度以降の開設場所は不透明だ=佐世保市

 長崎県佐世保市にある放課後学童クラブと地域の折り合いが付かず、開設場所が定着しない状況が続いている。静かで安全な環境での生活を望む地域と、クラブを開設したい運営者の主張は平行線のまま。臨時的な場所で開設しているクラブの代表者は「新年度以降の行き先がまだ不透明」と話す。
 「子どもの居場所を確保しないといけないのに」。児童クラブを運営する代表の男性は肩を落とす。保護者が仕事などで自宅にいない夕方の時間に小学生を預かる児童クラブ。新年度は約40人が通うことになっている。
 市の委託を受けた2018年以降、地域の理解がネックになってきた。クラブ開設のために住宅団地に民家を購入したが、地域の反対を受けて利用できていない。別の団地に開設候補地を見つけたが、そこでも地域の理解を得られていない。
 それぞれの地域の懸念は大きく二つ。子どもの「騒音」と事故の多発だ。説明会に出席した地域の住民の話では、交通量が増えることや速度制限を守らない保護者による事故を心配する声に加え1カ所に集まる約40人の子どもの声の「騒音」を懸念する意見が出た。
 地域と話し合いをしたクラブ代表の男性によると、いずれの地域も子育てが終わった世代が多く、静かな環境での生活を望んでいるという。運営を委託する市は「子どもたちの健全育成のためには地域の理解が必要」との立場だ。
 クラブは現在、小学校のプレハブで臨時的に運営しているが、学校の改修工事が計画されているため、新年度以降は使えなくなる。期限まで残り約2カ月。男性は「候補になる物件があるが実現するかどうかはまだ不透明。場所が決まらなければ閉鎖の可能性も出てくる」と焦りを募らせている。


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