教員不足

 昨年の秋、四十数年ぶりに「LINE」のやり取りで再会した中学時代の同級生。社会科の先生をしていたという。「うわ、想像つかない」とわれながら失礼な返信をしたら「○○先生の影響で」と懐かしい恩師の名前付きで教えてくれた▲あの先生みたいになりたくて、と次の世代が教職を志す-学校や教室のそんな“幸福な出会い”のことを何年か前に書いた。うれしい実例が身近な所にも▲今の学校はどうだろう。少し前に「公立校の教員不足」を伝える記事があった。昨年4月の始業日時点で計画通りに配置されていなかった教員数が全国で2558人。県内では小学校の7校に1校、中学ではほぼ4校に1校で配置不足が生じていたという▲〈一塁手がいないから、投球後のピッチャーが一塁ベースに走って、ぎりぎりアウトにできている感じ〉-現場の実態を人数の足りない草野球に例えた投稿をネットで見つけた。対応策の一例として説明された管理職と担任の兼務は〈飲食店のワンオペみたいなもの〉とも▲長時間労働などの実情が広く知られて志願者が減り、さらに現場が過酷な状況に…と解説がある。これでは「負のスパイラル」のお手本、生徒と先生の幸せな出会いなど望み薄に思える▲未来の社会をつくる場所がこのままでいいはずがない。(智)

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