爆心地でAR活用へ 資料館収蔵資料を追加調査 2022年度、長崎市平和関連事業

 長崎市は14日、新年度の平和関連事業の概要を発表した。被爆100年を見据えた取り組みとして、爆心地など3カ所でAR(拡張現実)などを活用し被爆当時の様子などを見ることができるデジタルコンテンツを作成すると明らかにした。このほか、長崎原爆資料館が収蔵する資料約2万点の追加調査も実施する。
 AR技術は、爆心地と山王神社二の鳥居で活用する。QRコードを読み込むと、爆心地では被爆当時のパノラマ写真が解説音声付きで視聴でき、二の鳥居では原爆により破壊し、現在の1本柱になる様子をCG映像で見ることができる環境を整備する。
 太平洋戦争末期に県防空本部が置かれた立山1丁目の「立山防空壕(ごう)」は天井などが劣化し立ち入り禁止区域を設けているが、新年度中に安全性が確認できた一部区域の公開を目指す。
 爆心地から500メートル地点にある市立城山小の被爆樹木で2016年に枯死した「カラスザンショウ」の立体模型も制作し、現地に設置する。
 田上富久市長は記者会見で被爆者の高齢化などの課題を挙げ「被爆者がいなくなった時代が来たとしても長崎が(平和などを)伝えていけるように被爆資料を整理することは非常に大事」と語った。


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