長崎県知事選 終盤情勢 中村氏、大石氏・浮動票狙う 県民との対話貫く・宮沢氏

(写真右から)中村法道氏 、大石賢吾氏、 宮沢由彦氏

 任期満了に伴う知事選は最終盤に入り、20日の投票日まであと2日となった。いずれも無所属で、4選を目指す現職の中村法道候補(71)、新人で医師の大石賢吾候補(39)=自民県連、維新推薦=、新人で食品輸入販売会社社長の宮沢由彦候補(54)の3人は、支援組織の票固めや浮動票獲得などに向け最後の追い込みに入っている。

 「本当に厳しい選挙。最後の4年間、もう一度皆さんと一緒に仕事する機会をいただきたい」。17日朝、諫早市小長井町の漁港。雪がちらつく中、中村氏は集まった約30人の漁業者らに駆け寄ってグータッチを交わし、声を張り上げた。
 14日の長崎地区選対会議では渡邉悦治後援会長が「相当厳しい状況だ」と危機感をあらわにし、電話作戦などでの浸透を求めた。報道各社が大石氏との「接戦」を報じたのは同日夕。同じころ、自民党県連の大石氏推薦に反発する党県議らは会合で、新型コロナウイルス対策に専念するため平日の街頭活動を控えていた中村氏に対し、外で動くよう相次いで要望。中村氏はいったん回答を保留したが悩んだ末、16日から選挙カーに乗ることを決断した。
 推薦、支持団体もギアを上げた。選対の中核、県農政連盟はJA組合員と職員に電話での支持拡大を再度要請。連合長崎も加盟労組に昨年秋の衆院選並みの取り組みを改めて文書で求めた。立憲民主、国民民主両党県連の国会議員や県市町議も動きを強化。陣営は18、19両日、大票田の長崎、佐世保両市などの浮動票に照準を合わせ、街頭活動を集中させる。

 「新しい時代には新しい視点が必要。大石に期待してください」。17日夕、長崎市中心部の鉄橋でマイクを握った大石氏は、かすれた声で通行人に熱く訴えた。
 「大石氏先行」「接戦」などの報道を受け、陣営は15日昼、急きょオンラインで選対会議を開き、医療系や自民党県連など推薦団体の関係者が支持拡大への動きを確認。「ふんどしを締め直した」(森崎正幸後援会長)という。会議後、森崎会長は記者団に対し「互角の戦いになってきた。勝利を目指して頑張るだけだ」と力を込めた。
 街頭活動や会員制交流サイト(SNS)による発信を強化し、短期間で知名度向上を図ってきた大石氏。陣営関係者は「徐々に『世代交代』のメッセージが伝わってきた」とみる。先週末には自民や日本維新の会の国会議員も応援に入り、「国とのパイプ」をアピールした。
 ただ、陣営は「まだ追っている状態」と分析。大石氏の出身地、五島市で手応えを感じる一方、島原半島では劣勢を強いられている。最終盤は無党派層の多い都市部に注力。「最後は投票率次第」(森崎会長)とし、SNSで知人らに投票を促している。

 宮沢氏は県民一人一人との対話に力を入れるスタイルを貫いている。17日は離島の佐世保市宇久町を訪問し、大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設計画に反対する島民と意見を交わした。精力的に訴えてきた石木ダム建設事業の見直しと同様、地元の声が県市などに届いていないと問題提起する。
 街頭に立てば有権者が予想以上に手を振り返してくれるといい、「上り調子。私たち自身がわくわくするようにやっていく」と意気込んでいる。


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