“一戦必勝”でJ1へ Ⅴ長崎・松田浩監督「決勝戦を42回やっていくだけ」

 昨年5月、下位に沈むV長崎を託され、急造チームながら昇格争いをするところまで復活させたのが松田浩監督(61)だった。開幕を直前に控える指揮官が18日、オンライン会見に臨んで今季のリーグ戦を展望した。(以下、一問一答)

 -補強選手のリストアップから始まり、沖縄・宮崎キャンプで戦術練習にじっくりと時間を割いてきた。現在のチーム状態は。

開幕前キャンプで自身の戦術をじっくりと落とし込んだ松田監督。「一戦必勝」でJ1昇格を目指す

 例年に比べると開幕が1週間くらい早いが、その分、自主トレ期間を「第1クール」と見なして同じサイクルで進めるようにした。昨年からの継続性という意味では土台がある程度できていたので、すごく順調に、計画的にチームづくりを進められた。ある意味やり残したことはないんじゃないか。コロナで大変なチームがある中で1人も感染者がいないし、けがは付きもので全員そろっているわけでもないが、試合ができるメンバーはいる。そういう意味ではいい準備で開幕を迎えられる。
 これから実戦を通して新たな化学反応が起きてくるし、相手によって通用する部分、しない部分を検証して洗練・進化させていく。これをずっと続けていく。

 -新加入選手を含め、複数のポジションをこなせる選手がそろった。昨季はほぼ「4-4-2」で戦ったが、フォーメーションのバリエーションは増やすか。

 選手が同じでも試合の流れや相手の配置で自分たちの立ち位置を変えるなら変える。「4-4-2」と「4-3-3」の併用も考えられるが、ベースは「4-4-2」で戦う。同じ「4-4-2」でも選手の特長や右利き、左利きでも立ち位置は変わる。

 -コロナ禍の例外ルールで、今季はJ1だった4チームがJ2に落ちてきている。さらにプレーオフも復活し、昇格争いの激化が予想される。

 実力が拮抗(きっこう)しているチームが多く、星のつぶし合いみたいなことが起こるんじゃないか。去年の勝ち点が昇格ラインにはならないんじゃないかという気はしている。それくらい熾烈(しれつ)なリーグになる。楽に勝てるチームはないし、サッカーの試合は変動要素がものすごく多い。力の差、試合内容の差がそのまま結果に出にくい競技。やってみないと分からない試合が続くと思う。

 -その中で、松田監督は「一戦必勝」を今季のキーワードに掲げた。

 毎試合、決勝戦を42回やっていくということしかない。しっかり目の前の試合に集中して、全部出し切って、休んでまた鍛錬して試合に臨む。それを42回繰り返すだけ。今は次の試合しか考えていない。1点差でも何でもいいから勝ち点3を取っていくことに集中していく。

 -開幕戦は4年連続ホーム戦で、昨年までは3年連続で白星発進に成功している。今年はホームに東京Vを迎えるが。

 開幕戦はそこに至るまでの「流れ」「リズム」が全くないのが最も難しいところ。何が起こるか分からない。東京Vはパスをつないでドリブルで仕掛ける伝統のスタイルは残しつつ、監督が変わって組織的な部分も取り入れていて手ごわい相手。一筋縄ではいかないが、そういう相手に対する戦い方もあるし、じれずに勝ち点3を取る試合をやれるんじゃないか。そうしなければいけない。


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