紀平薬剤管理官「問われているのは患者がサービスをどう感じられるか」/展示会で講演

【2022.02.28配信】厚生労働省保険局医療課・薬剤管理官の紀平哲也氏は2月26日、医療と介護の総合展(RX Japan主催)において講演した。その中で、紀平氏は調剤報酬改定に関連して「問われているのは患者がサービスをどう感じられるかではないか」との考えを示した。また、今後、「医薬品を提供する場としての薬局」ではなく、「医療提供施設としての薬局」の在り方を考えていく必要があるとした。

講演の中で紀平氏は、改めて「保険診療とは」と切り出した。
「保険診療とは何かを改めてお話しをさせていただきます。被保険者から保険料を集めて支払基金を通じて報酬を支払う仕組みです。サービスを提供するのは保険指定を受けている医療機関や薬局。保険指定を受けることが保険診療の役割を担うという位置づけになっています。報酬が支払われる対象は、提供される診療サービス。制度上は療養の給付といわれます。よく薬剤師の仕事が評価されたという表現がされることがありますが、薬剤師の仕事そのものに報酬が支払われるというものではなくて、患者さんに対して提供された“診療サービス”に支払われるもの。これまで問われているのは薬局で実施している薬剤師の仕事が、患者にとってどのようにサービスとして感じられるか、ではないかと思っています」と述べた。

講演の中では一包化加算に関して次のように説明する場面もあった。「一包化加算についても一包化の作業代という受け取られ方をしていたかもしれないが、患者さんの服薬を支援する観点で外来服薬支援料2というところに位置づけとしています」とした。

紀平氏は保険診療について、負担の割合なども改めて示した。およそ半分が保険料、残り半分の大半が公費。このうち保険料をあつかっているのは保険者であり、費用の負担は被保険者と事業主だ。公費については「予算という形になるため、財務省の意見も入ってくる形になります」とした。「保険診療そのものを考えるという意味では、保険者や財務省などから、いわゆるステークホルダーとしていろんなご意見をいただくということとなります」と説明した。具体的には政府の骨太の方針や、年末の予算の編成過程での大臣折衝、総理を交えた改定率の決定のほか、改定の基本方針については社会保障審議会で取りまとめられている。

今後の課題については、「医薬品を提供する場としての薬局」ではなく、「医療提供施設としての薬局」の在り方を引き続き考えていく必要があるとの考えを示した。
「医薬品を提供する場が薬局であると、世間も薬局も受け止めていた部分があるのではないかと思っています。また薬局薬剤師については調剤を行うというふうに思われてきた部分があると思います。ここについて、これまで指摘や議論が行われてきていると思っています。引き続き考えないといけないのは、薬局という場が医療提供施設としてどういった業務を行って、どういった体制をとって、新型コロナウイルス感染症のような有事の時にどういった対応を行っていくのか、ということではないか。薬局薬剤師も同様で、医療従事者としての仕事、在り方というものが問われている。保険医療の中で保険診療サービスを提供する役割の中で、薬局薬剤師が提供すべきサービスとは何なのかが、引き続き問われていくのではないかと思っています」とした。

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