初登庁

 先の知事選で言うなら「継続か、刷新か」とか「豊かな経験か、未知数の若さか」とか-。すぐに図式を単純化したがるのはメディアの悪い癖だ、とつねづね自戒している▲もちろん、現実の選択はそんな単純な二者択一の産物とは限らない。投票用紙に記した名前が同じでも、1票に託した思いは、おそらく有権者の数だけ違っている▲その知事選を541票差で制した大石賢吾新知事が昨日、初登庁した。現役の都道府県知事では最年少となる1982年生まれの39歳は、県職員の平均よりも5歳ほど若い。「すてきですね。責任を感じます」と知事室の椅子で第一声▲難題山積の本県。新知事への期待は大きいが、特効薬や魔法の杖がないことは皆が知っているし、県民の全てが闇雲な変化を望んでいるわけでもない。だから、功を焦らず、結果を急がずに、一つ一つの課題にじっくり向き合って最適解を…と書き掛けて▲デビューの日、登庁の感想や新たな決意に交じって問われたのは、6日に期限を迎える新型コロナの「まん延防止等重点措置」への対応。再延長を求めない方針を示した。初仕事だ。県政は初心者マークを待ってくれない-と実感しつつ▲新しいリーダーと進む長崎の4年間が始まった。出発を祝うように、昨日はぽかぽかとよく晴れた。(智)

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