諫早市文化財 新たに2件を指定 「教専寺の木造阿弥陀如来立像」「天祐寺の木造如意輪観音坐像」

左から「教専寺の木造阿弥陀如来立像」、「天祐寺の木造如意輪観音坐像」(諫早市提供)

 長崎県諫早市はこのほど、「教専寺の木造阿弥陀如来立像」と「天祐寺の木造如意輪観音坐像」の2件を新たに市文化財(有形文化財)に指定したと発表した。今回を含め市内の文化財は93件(市指定65、県指定20、国指定6、国登録2)になった。
 市文化財保護審議会(下川達彌会長)の答申を踏まえ、市教委が決定した。
 市によると、教専寺(森山町)に本尊として伝わる木造阿弥陀如来立像(像高1メートル)は平安時代後期の仏像彫刻。表面の金泥と金箔(ぱく)は後に補修されたものだが、キリシタンによる神社仏閣破壊の歴史がある島原半島から県央地域において良好に保存された仏像で、歴史的にも美術工芸史的にも貴重という。
 天祐寺(西小路町)の木造如意輪観音坐像(像高53.5センチ)は全体的なバランスや衣、頭髪などの表現、九州内の類例との対比から、運慶らで知られる慶派仏師による13世紀前半の作とみられる。九州肥前地域における鎌倉時代の仏像彫刻を代表すると評価された。
 2件とも一般公開はしていないが、市ホームページで紹介。市は「いずれも、崇拝の対象として長く引き継がれてきたのはすごいこと。諫早の歴史をあらためて再認識する仏像であり、貴重」としている。


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