5~11歳コロナワクチン、宇都宮市が接種開始 「もう少し様子見」ためらう親も 専門家「家族でしっかり相談を」

宇都宮市で始まった新型コロナの小児用ワクチンの接種=5日午後4時45分、同市御幸ケ原町(代表撮影)

 宇都宮市は4日、5~11歳向けの新型コロナウイルスのワクチン接種を市内の小児科などで始めた。県内の自治体では初めてで、他の市町も順次開始する予定。接種した子どもの母親は「感染時の重症化が心配だったのでほっとした」と安堵(あんど)した。一方で副反応への心配から接種をためらう人もおり、専門家は「家族でしっかり相談することが重要」と指摘した。

 「注射は怖かったけど、インフルエンザ(の予防接種)よりは痛くなかった」。宇都宮市御幸ケ原町の遠藤小児科でコロナワクチンを接種した同市下岡本町、小学3年川出快人(かわいでかいと)さん(9)は落ち着いた様子で振り返った。母親の玲子(れいこ)さん(41)は「小児ぜんそくがあるので接種に迷いはなかった」と明かした。

 同市では接種対象約3万2500人のうち、最初に基礎疾患などがある5~11歳約3千人の優先予約を受けた。7日からは5~7歳の予約を受け付け、8~11歳はワクチンの供給量などに応じて決める。

 一方、同市内の女性(36)は長男(7)に接種させるか悩んでいる。重篤な副反応は極めてまれだと分かってはいるが「実際にあると思うとためらってしまう」。コロナ感染時の後遺症への不安もあり、接種しないと決めたわけではないが「もう少し様子を見てみようかな」と考えている。

 厚生労働省によると、5~11歳は米ファイザー製のワクチンを使う。有効成分量は12歳以上用の3分の1。副反応は接種部位の痛みや倦怠(けんたい)感、頭痛、発熱などが大半で、ほとんどが軽症という。米国のデータでは、2回目接種から1週間後に症状が現れる割合は12~15歳と比べて低く、極めてまれな事例とされる心筋炎も12~17歳の男性と比べて少ない。

 日本小児科学会専門医で国立病院機構栃木医療センターの石井(いしい)とも小児科医長は、子どもの感染が増える中、感染時も症状を抑えることが期待できるなど接種の意義を強調する。「本人に基礎疾患がなくても、高齢者と同居していれば接種のメリットはある」と説明し、家庭内の現状を踏まえて接種するか話し合うことが重要だと指摘した。

宇都宮市で始まった新型コロナワクチンの小児接種=4日午後4時15分、同市御幸ケ原町(代表撮影)
宇都宮市で始まった新型コロナワクチンの小児接種=4日午後4時50分、同市御幸ケ原町(代表撮影)

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