<心新たに 2022年春・5>ラグビー 川久保瑛斗(長崎北陽台高→東海大) 夢はW杯出場 速く、ひた向きにを体現

「代表に選んでもらっていることをしっかり理解して前に進んでいきたい」と語る川久保=長崎市総合運動公園かきどまり運動広場

 密集から素早くパスを出して攻撃のテンポを上げる。突進してくる大型FWを、低く、鋭いタックルで仕留める。身長160センチのSH川久保瑛斗は3年間、長崎北陽台の速く、ひた向きなラグビーを体現しながら、各カテゴリーの日本代表に選ばれ続けてきた。
 鳴鼓小4年で時津ラグビースクールに入校。「それまでは母の勧めでダンスとかをやっていたけど、ラグビーはめっちゃ楽しかった」。当時から小柄だったが、生来の「負けず嫌いの性格」も競技とマッチしたのだろう。身体能力の高さもあって、すぐにチームの中心選手になっていった。
 最初に代表に呼ばれたのは鳴北中2年の冬。世界と戦える可能性を秘めたタレントを育成、強化する日本ラグビー協会の「セブンズユースアカデミー」。基本的に高校生を対象とした代表に招集された。「最初は何に選ばれたのか分からなかった。メンバーを見て驚いた」。以降、アカデミーは4年連続、今季は高校日本代表、U-20日本代表候補にも選出された。

今冬の花園でチームを8強に導いた川久保。世代ナンバーワンのSHに成長した=大阪府東大阪市、花園ラグビー場

 中学卒業時の進路は「迷った」。二つ上の兄がいる長崎北も考えたが、最終的に「北陽台の品川英貴先生の下でやりたい」と決断。同時に自らの体格を考え、中学まで経験したことがないSHへの転向も決めた。
 そのSHの挑戦は「簡単に見すぎていた。思っていた以上に難しかった」。中学まではフィニッシャー的な役割のFBが主だったが、SHは司令塔として試合を組み立てる力が求められる。「今もだけれど、パスが全然で…」。高校時代はSHになるための3年間でもあった。
 体が小さいため、周りからなめられて「やめたいな」と思ったこともある。中学時代に県選抜で全国に出たとき、相手から「ちっさ」と言われたりもした。でも、そのたびに「小さいからこそできることもある」と燃えた。そして「高校で品川先生にあらゆることを教わり、(コーチの)浦敏明先生のおかげでコンタクトも強くなれた」。世代ナンバーワンのSHに成長した。
 次の目標は2人の先生や支えてくれた母への恩返し。夢は大きく「フル代表になりたい」だ。ワールドカップ(W杯)で背番号「9」を背負うことが、一番喜んでもらえると思っている。


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