江戸時代からの長崎の味〝浦上そぼろ〟 地元スーパーで販売 ジョイフルサンが保存会と連携

店頭に並ぶ「浦上そぼろ」=長崎市中園町、ジョイフルサン住吉店

 長崎市の浦上地区に江戸時代から伝わるとされる家庭料理「浦上そぼろ」。地元で親しまれている味を広く知ってもらおうと、ジョイフルサンアルファ(同市)は、NPO法人「浦上そぼろ保存会」と連携し商品化にこぎ着けた。市内のジョイフルサン4店舗で販売している。新型コロナウイルス禍で保存会による活動が停滞する中、地元スーパーが継続的な販売を通して市民への浸透を図る。
 浦上そぼろは、豚肉やこんにゃく、ゴボウ、モヤシなどをしょうゆと砂糖で甘辛く仕上げた家庭料理。ポルトガル宣教師が浦上村の各家庭に伝えたとされ、江戸末期の1853年の文献には「そぼろ」の文言と共にレシピの記述が残る。市内では昔から学校給食でも提供されており、市民になじみのある一品だ。
 商店街関係者らでつくる保存会は2018年から活動し、地域のイベントなどで浦上そぼろを販売してきた。しかし、コロナ禍で祭りなどの催事が激減し、今後の活動に見通しが立たない状況となっている。

浦上そぼろを試作するスタッフ(ジョイフルサンアルファ提供)

 そこで同社は、保存会の協力を得て商品化を検討。浦上そぼろは基本的なレシピはあるものの、味付けは家庭ごとに異なる。「正解」がない中、総菜として、多くの人に親しまれる味とするため試作を繰り返した。
 1月から市内の山里、本原、住吉、城栄の4店舗で販売を始めたところ、店舗によっては売り切れの日もあるなど売り上げは上々。お年寄りを中心に人気を集め、「懐かしい」と手に取る人が多いという。
 今後も販売を継続する予定で、弁当の一品に加えることも検討している。ジョイフルサンアルファ営業推進課の奥村昭彦係長(47)は「コロナ禍にあって、地域活性化の役に立てればと思い販売を決めた。時間をかけて育てていく商品になると思う。口にする人が増えれば、うれしい」と語る。
 保存会の甲斐亮代表理事(47)は「長崎の食文化を学ぶきっかけとなり、非常にありがたい取り組み。後世に伝えていくためにも、ぜひ若い人たちに食べてもらいたい」と話している。


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