長崎県 まん延防止解除 飲食店には喜び、不安 1カ月半ぶり通常営業

休業明けの店舗で、ビールを楽しむ県外客=7日午後7時10分、長崎市本石灰町、いけす居酒屋川正

 長崎県への新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置は6日までで解除され、飲食店に対する営業時間短縮要請も終了した。長崎、佐世保両市の繁華街は7日、午後9時以降も店に明かりがともり、サラリーマンや若者の姿が戻ってきた。ただ依然として感染収束の見通しは立たず、店側は客を迎える喜びを感じながらも、客足の回復や感染再拡大に不安を抱いている。
 長崎市本石灰町の「いけす居酒屋川正」は、1月21日に重点措置が適用されて以来、約1カ月半ぶりに店を開けた。昨年末は忘年会で団体客が戻っていたが、感染対策の第三者認証を申請しようとしていた年明けに第6波に見舞われ、休業を余儀なくされた。
 この日の予約は入っておらず、魚の仕入れは通常より控えめにした。午後7時すぎの客は2組。島根県から同僚と仕事で訪れた漁業の男性(48)は「制限が解除されたタイミングでちょうど良かった。地元では珍しいキビナゴが出てうれしい」と笑みを浮かべた。
 店主の王思軼(しいつ)さん(37)は「お客さんの『おいしいね』が心にしみる」と、ほっとした表情。一方で、客にマスク会食を呼び掛けても「酒が入ると難しい」とみる。「オミクロン株は感染力が強い。また急に感染が拡大したら」と不安は付きまとう。
 佐世保市上京町の居酒屋「ほたる茶屋」。午後7時になっても客は数人で、オーナーの穴見善広さん(59)は「すぐにお客さまが戻ってくるかどうか、不安の方が大きい」と吐露する。昨年1年間は赤字。協力金は店の規模に対して少なく、貯金を取り崩しながら営業を続けている。「何度も同じことの繰り返し。いつまで飲食店が負担を強いられるのか」と先行きを案じる。
 同市山県町でラウンジを経営する40代女性は「時短要請にどれだけ効果があったのか」と疑問視。「重点措置の間、街が寂しかった。営業再開を待ってくれているお客さまがいる。店を開けて、これから街の雰囲気を変えていかないと」と話した。


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