東京商工リサーチ新潟支店が第20回新潟県内企業「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査の結果を公表

株式会社東京商工リサーチ新潟支店は10日、第20回新潟県内企業「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査の結果を公表した。同アンケートは、2月1日から9日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答215社を集計・分析したもの。

「新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?(択一回答)」という問いに対して、最多の回答は「影響が継続している」が76.3%(215社中164社)だった。以下、「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」が13.5%(29社)、「影響が出たがすでに収束した」が5.6%(12社)、「影響はない」が4.7%(10社)だった。「影響が継続している」は、前回調査の72.7%(172社中125社)より3.6ポイント悪化した。

「新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?(択一回答)」という問いに対する回答

「貴社の2022年1月の売上高は、前年同月(21年1月)を100とすると、どの程度でしたか?」という問いに対しては、2022年1月の前年同月(2021年1月)の売上高比で回答があった企業を見ると、「100以上」(増収)は53.6%(74社)、以外の46.4%(64社)が前年割れ(減収)だった。

減収企業率の推移

「貴社の2022年1月の売上高は、コロナ禍前の3年前(2019年1月)を100とすると、どの程度でしたか?」という問いに対しては、2022年1月と2019年1月の売上高比で回答のあった企業を見ると、「100以上」(増収)は37.4%(46社)、以外
の62.6%(77社)が減収だった。

「コロナ禍による材料・部品供給の滞りや物流の乱れで、生産やサービス提供に悪影響が生じたことはありますか?(択一回答)」という問いに対しては、「生産やサービス提供に悪影響がある」が74.8%(206社中154社)。一方、「ない」が25.2%(52社) だった。

「部材の供給滞りや物流の乱れにどう対応されましたか?その結果、生産やサービス提供はどうなりましたか?(択一回答)」という問いに対しては、「既存先とは異なる(仕入・外注)先を探したが、生産・サービスの提供は従来よりも低下した」が38.1%(139社中53社)、「代替先は探さず、既存調達(仕入・外注)先からの供給が回復するまで減産した」が32.4%(45社)、「既存先とは異なる代替調達(仕入・外注)先を探し、従来
通り生産・サービスの提供ができた」が29.5%(41社)と続いた。なお、「調達(仕入・外注)が不可能と判断し、影響を受けた事業から撤退した」は該当なしだった。

「コロナ禍で実施された主な支援策のうち、貴社の経営にプラスに働いたのは以下のどれですか?(複数回答)」という問いに対しては、最多は、「雇用調整助成金」で(275社中、86社)。また、「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」は(80社)、「持続化給付金」は(63社)だった。そのほか、「Go Toキャンペーン」(21社)、「事業再構築補助金」(14社)、「新型コロナ特例リスケジュール」(6社)、「納税・社会保険料の納付猶予」(5社)と続く。

「コロナ禍で実施された主な支援策のうち、貴社の経営にプラスに働いたのは以下のどれですか?(複数回答)」という問いに対する回答

「2021年の倒産は6,030件(前年比22.4%減)、休廃業・解散(以下、廃業)は4万4,377件(前年比10.7%減)で、ともに大きく減少した。2022年は、2021年と比較して倒産や廃業はどうなると思いますか?(択一回答)」という問いに対しては、最多は、「倒産・廃業ともに増える」の77.2%(197社中152社)だった。次いで、「倒産は減り、廃業は増える」は13.2%(26社)。合計90%を超える企業が2022年は廃業の増加を感じていることがわかった。また、「倒産・廃業ともに減る」は7.1%(14社)、「倒産が増え、廃業は減る」は2.5%(5社)だった。

「貴社の得意先(販売先・売掛先)のうち、与信管理上、注意を要する先は何%ありますか?」という問いに対しては、最多は「1%未満」の27.7%(65社中18社)だった。一方で、「10%以上20%未満」が21.5%(14社)あり、与信上の懸念を抱えている企業が多いことがわかった。

「オミクロン株の感染拡大(概ね2022年1月初頭)以降、濃厚接触者となった従業員の自宅待機は貴社の業務に影響を与えていますか?(択一回答)」という問いに対しては、最多は「濃厚接触者はいない」の37.7%(207社中78社)だった。また、「ある程度影響を与えている」は34.8%(72社)、「大きく影響を与えている」は7.7%(16社)で、合計42.5%の企業に影響を及ぼしている。又、「あまり影響を与えていない」は16.9%(35社)、「全く影響を与えていない」は2.9%(6社)であった。

「コロナ禍の収束が長引いた場合、廃業(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性はありますか?(択一回答)」という問いに対しては、「ない」が94.4%(195社中184社)、「ある」が5.6%(11社)となった。

「廃業を検討する可能性が『ある』と回答された方に伺います。検討するのは、いつ頃で
すか?(択一回答)」という問いに対しては、「13~24カ月」が36.4%(11社中4社)、「25カ月以上」が27.3%(3社)、「7~12カ月」が18.2%(2社)、「2~3カ月」、「4~6カ月」が(各1社)となった。
「コロナ禍の収束が長引いた場合、再生支援協議会や事業再生ADR、民事再生法などを活用して事業再生を検討する可能性はありますか?(択一回答)」という問いに対しては、「ない」が96.2%(186社中179社)、「ある」が3.8%(7社)となった。

「あると回答された方に伺います。事業再生を検討する可能性があるのは、いつ頃ですか?(択一回答)」という問いに対しては、「1カ月以内」が40.0%(5社中2社)、「7~12カ月」、「13~24カ月」、「25カ月以上先」が20.0%(各1社)となった。

「貴社の借入金について、返済の見通しは以下のどれですか?(択一回答)」という問いに対しては、借入金のある190社から回答を得た。「コロナ前も後も過剰感はない」が61.6%(190社中117社)、「コロナ後(概ね2020年2月以降)に過剰となった」が20.5%(39社)、「コロナ前(概ね2020年1月以前)から過剰感がある」が14.2%(27社)、「コロナ前は過剰感があったが、コロナ後に解消した」が3.7%(7社)だった。

東京商工リサーチ新潟支店はレポートの中で、「コロナ禍以降、企業はリモート(在宅)ワークを推進してきたが、事業の特性上、リモートが難しい業種もある。また、リモートワークの従業員比率を高めるには、システム整備や人事評価の見直しなど、投資負担も大きい。企業体力の差が「リモートしやすさ」の環境格差に繋がっている側面もある」と分析。

また、「いよいよゼロ・ゼロ融資の返済が始まるなか、事業再構築の遅れは、将来の返済原資の確保を難しくさせかねない。事業再構築の必要性を浸透させるだけでなく、支援策の枠組みの見直しも急務になっている」と指摘している。

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