東日本大震災11年 被爆者ら心寄せ、被災地にエール 長崎・爆心地公園

午後2時46分のサイレンに合わせて黙とうし、東日本大震災の犠牲者を追悼する参加者。ウクライナの子どもたちが描いたキッズゲルニカも展示された(下)=長崎市、爆心地公園

 東日本大震災から11年を迎えた11日、平和活動に取り組む高校生や被爆者らが長崎市松山町の爆心地公園で、犠牲者を悼み、被災地の復興を願う集会を開いた。「長崎からできる支援を」「災害への備えを」-。参加者は献花や黙とう、スピーチを通じて被災地に心を寄せた。
 被爆地長崎からエールを届けようと、被爆者団体や市民団体が震災翌年から毎年開催。東京電力福島第1原発事故の被災者と交流を続ける「福島と長崎をむすぶ会」共同代表で、被爆2世の阪口博子さん(72)は、開会あいさつで「被爆地として福島に連帯し、心を通わせたいと活動してきた。被災地の傷はまだまだ癒えず、原発事故は終わっていない」と語った。
 核兵器廃絶運動に取り組む高校生らも参加。高校生1万人署名活動実行委員会のメンバーで県立長崎北陽台高2年の横木優葵乃さん(17)は、震災当日が6歳の誕生日で、最近まで「自分の誕生日にどう向き合えば良いか分からなかった」と吐露。悩んだ末に「自分にとっての祈りの日にすると決めた。できることは少ないが被災地を思い、自分に何か(災害が)あった時に備えていたい」とスピーチした。
 また地元の芸術文化団体でつくる「長崎平和アートプロジェクト(ナヘア)」の協力で、会場にはロシアから軍事侵攻を受けているウクライナの子どもたちが5年前に描いた大型絵画も展示。ナヘアは「日本各地から震災被災地に絆が寄せられる今日だからこそ、その絆を広げ、ウクライナに届けよう」とする声明文を発表した。


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