「雲仙温泉 青雲荘」19日リニューアルオープン 元支配人の思い受け継ぐ 土砂災害で休館7カ月

リニューアルオープンの準備が進む青雲荘=雲仙市小浜町雲仙

 昨年8月の大雨土砂崩れで被災し、休館していた長崎県雲仙市小地獄地区の温泉宿泊施設「雲仙温泉 青雲荘」が19日、リニューアルオープンする。元支配人の森保啓(やすひろ)さん=当時(67)=が近くの自宅で土砂に巻き込まれ犠牲になった。従業員たちは「森さんの思いを引き継いで盛り上げていく」と張り切っている。
 土砂は森さん宅を押し流し、家族3人の命を奪った。下手の青雲荘の1階にも流れ込んだ。休館は7カ月間に及び、昨年末までの宿泊予約約9千人分を断った。
 営業再開に向け、1階のロビーやレストランの内装デザインを白色基調からシックな木調に一新。男女大浴場も含めた改修費用は約2億円に上る。外壁塗装が6月ごろまで続く見通しのため定員を抑えるが、待ち構えたように予約申し込みが相次いでいる。
 施設は森さんが支配人を務めていた1999年に建て替え、今回はそれ以来の大規模改修。現在の総支配人、長橋慶治さん(61)は当時、上司だった森さんから「青雲荘を一緒に盛り上げていこう」と声を掛けられていたという。
 長橋さんはその思いも胸に「ご愛顧いただいているお客さまに迷惑をお掛けした。低料金を維持しながら満足度を向上させていきたい」と話している。
 一方、県は4月から、土砂崩れ起点部分ののり面補強など対策工事を開始。治山ダム設置も計画している。

木調に改修する1階ロビーのイメージ(青雲荘提供)

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