“音”で森を保全 佐世保高専生3人がシステム開発中 害獣駆除などに役立て

森にある音を拾って識別し、森の保全に役立てるシステムを開発中の(左から)道上さん、出井さん、田中さん。木に設置しているのは、人工知能を搭載したセンサー機器=佐世保高専

 長崎県にある佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)の学生有志が、森にある音を拾って識別し、森の保全に役立てるシステム「OtoDeMiru」(オトデミル)の開発に奮闘している。
 研究しているのは、専攻科複合工学専攻2年の道上竣介さん(22)、電気電子工学科5年の出井和音さん(20)、同2年の田中陽樹さん(17)の3人。
 道上さんらは、対馬で生息が確認され、生態系への影響が懸念される特定外来生物「ツマアカスズメバチ」の羽音を集める機器で巣の位置を特定するシステムを昨年開発した。ハチに限らず、汎用(はんよう)性を高くしようと、人工知能(AI)技術を搭載し、森にある全ての音を収集。風や雨の音から風量や雨量を観測したり、動物の出す音から生息地を把握し、害虫・害獣の駆除に役立てたりする。
 3人は、ものづくりの技術や事業性を競う全国の高専を対象にした「ディープラーニングコンテスト2022」にオトデミルで参加。書類審査などを通過し、4月の本選に出場することが決まった。現在はハチの種類を識別するため、システムの精度を上げている。将来的には、解析できる範囲を森から街に広げ、監視カメラで撮れない領域の音を収集し、防犯に貢献するなど、さまざまな分野での活躍を目指す。
 道上さんは、このシステムをもとに起業の準備を進めており、「そもそも音を使ったビジネスモデルは少なく、これからアプローチしていきたい」と意気込みを語った。

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