年収350万円お金が貯まらない…貯まる仕組みはどう作る?

「お金を貯めたい」と思ったはいいものの、どうすればいいのかわからない……という人は意外と多いです。頑張ろうという気持ちは大切なのですが、気持ちや意志だけではお金は貯まっていかないのが現実です。

今回は、お金を貯めようと思ったときに、何からすればいいのか、どうやって貯めていけばいいのかといった、「お金がきちんと貯まる仕組み」を解説します。


お金を貯める方法は3つしかない

お金を貯めるためにできることはたくさんあるのですが、大きく分類すると「収入を増やす」「支出を減らす」「お金自身に働いてもらう」の3つしかありません。

最優先は支出を削減することです。支出の削減には即効性があります。それに、仮に収入が多くなっても、支出の見直しをしておらず、収入に合わせて支出が増えるようだとお金は貯まりません。「高収入貧乏」という言葉があるように、人は「パーキンソンの法則」に陥りがちです。パーキンソンの法則とは、人はお金や時間が与えられると、与えられた分全て使ってしまう傾向にあります。

まずは支出の見直しを考えます。

もっとも、支出の見直しには限界もあります。そこで、お金が貯められるようになったらお金自身に働いてもらう投資をしていきます。もちろん、収入も増やせるに越したことはないですが、その前に支出を減らし、投資をすることを考えていきましょう。

支出を徹底的に見直そう

「お金が貯まらない」と悩んでいる人ほど、実は毎月何にどのくらいお金を使っているのかを把握していないものです。漠然とした不安を解消するためにも、まずは毎月の支出を把握しましょう。

支出の把握には、家計簿アプリなどが便利。買い物の際のレシートをカメラで撮影するだけで支出が記録できます。また、銀行口座や証券口座、クレジットカードなどと連携させると、自動的にお金の出入りを記録できます。

他にも、1カ月分のレシートや領収書をまとめておいて、「食費・交際費」「固定費(家賃・通信費・光熱費など)」「その他」の3つ程度に分けて集計してもいいでしょう。1,000円単位でいいのでざっくりと確認して、支出の傾向をつかみます。

節約で最優先する費目は、毎月の支払額が決まっている固定費です。固定費は金額が大きなものが多いため、見直しによる効果も大きくなります。しかも、見直しによって毎月の支払いが減らせるので、効果が長続きします。たとえば、次のような固定費を見直しましょう。

住居費

賃貸住まいであれば、より家賃が安いところに引っ越すことを検討。節約できる金額は地域や物件によっても異なりますが、月3万円以上になることも。引っ越し代で多少お金がかかっても、家賃ダウンによっていずれ元がとれ、以後はお金が浮くことになります。

スマホ代

通信費、とりわけスマホ代は、多くの家計で膨れています。しかし、近年の大手キャリアの低価格プランや格安スマホを利用すると、月3,000円〜5,000円程度安くすることもできなくはありません。大手キャリアのプランをそのまま使っているならば、早めの変更を検討してみるとよいでしょう。

光熱費

電気代の見直しで有力なのが、電気とガスを同じ会社で購入する「セット割」。セットにするだけで割引が受けられたり、電気代・ガス代が安くなったりして、年間1万円程度の節約につながります。住んでいる地域によりサービスが異なりますので、セット割が利用できないか確認してください。

固定費の見直しが済んだら、次は何気ない日常の「無駄遣い」や浪費、食費や交際費といった「変動費」の削減にも取り組みます。とはいえ、全部節約するのは大変。支出に優先順位をつけ、順位の低いものから削減します。

見直すべきお金の使い方は

さらに、お金の使い方についても見直していきましょう。

経済圏

「経済圏」とは、同じ系列のさまざまなサービスを利用するほど便利になったり、割引やポイントなどの特典を受けられたりする仕組みのことです。

たとえば楽天グループであれば、ネットショッピングの「楽天市場」をはじめ、楽天カード、楽天モバイル、楽天証券など、さまざまな楽天系のサービスで共通して楽天ポイントが貯められます。そのうえ、「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」によって、対象のサービスをたくさん使うほど楽天市場での買い物時にもらえる楽天ポイントの倍率がアップします。

最近は、PayPay経済圏も、PayPay銀行や、PayPayモールやYahoo!ショッピングなどで注目されています。またイオンならば、イオンカードや電子マネーWAONなどを「お客さま感謝デー」などの特定日に利用すれば5%オフやポイント還元倍率がアップする特典が受けられます。

キャッシュレス決済

お金はなるべくクレジットカード・電子マネー・スマホ決済といったキャッシュレス決済で支払います。ポイント還元や割引が受けられるからです。

キャッシュレス決済は、自分の日々の行動を考えて、よく行くお店やよく使うサービスでお得になるものを選ぶことが大切。おすすめは「クレジットカード2枚・電子マネー1つ・スマホ決済2つ」の合計5つに絞ることです。利用するものを絞ることで、ポイントも貯めやすくなりますし、お金の流れもわかりやすくなります。

たとえばクレジットカードであれば、スーパーなどで買い物をするなら「流通系」、電車に乗るなら「交通系」、車を使うなら「石油系」という具合に選びます。先に説明した経済圏でお得に使えるものを選ぶのもいいでしょう。また、ポイントの還元率が0.5%のものよりも、当然1%のものの方がいいですよね。なるべく高いものを選ぶのもコツです。

お金を確実に貯める「先取り貯蓄」

支出を見直すことで、毎月貯められる金額がわかってきたら、「先取り貯蓄」で目標の金額を貯めます。先取り貯蓄とは、収入から貯蓄を先に確保し、残ったお金で生活することです。

毎月の貯蓄分を、1か月生活したあとの残りから出そうとすると、「今月は残らなかったから貯蓄ができなかった」となりがちです。しかし、先取り貯蓄をすれば、仮に残ったお金を全部使っても確実に貯蓄できます。

先取り貯蓄の目標は、手取りの2割です。年収350万円(ボーナスなし)で考えると手取りは年280万円、月23万円程度となります。その2割ですから、月4.5万円程度は貯蓄に回したいところです。

もちろん、個々の家計により2割は難しい人もいるかもしれません。ですが、お金をなるべく貯めていくためにも、2割を目標とするのがいいと考えます。逆に「実家暮らしで支出が少ない」といった場合には、手取りの5〜8割と貯めていきましょう。

先取り貯蓄をするために、貯蓄専用口座を用意しましょう。貯蓄専用口座には、普段の生活費をやりくりする生活費口座からお金を取り分けておき、使わないようにします。銀行の自動振替サービスを利用して、給与が入ったらすぐに貯蓄専用口座に自動でお金を移動できるように設定しておくと手間もかかりません。

先取り貯蓄をする際にはこのような「自動的」「強制的」にお金の貯まる仕組みを利用することが大切。人は意志が弱い生き物なので、仕組みがないとなかなかお金を貯められません。それを防ぐのが“お金の貯まる仕組み”というわけです。

なお、銀行口座で活用したいのがネット銀行です。今の時代、大手都市銀行を利用するメリットはあまりありません。ネット銀行の多くは店舗がなく、コンビニなどのATMでお金を引き出す仕組みになっています。しかし、そのかわりに条件を満たすことで金利が高くなったり、コンビニでの入出金が無料になったりする特典を受けられるところも。また、残高の確認や振り込みもスマホですぐできるので手軽です。

たとえばあおぞら銀行の「BANK」では、普通預金金利(以下すべて2022年3月9日時点・税抜)が年0.2%となっています。大手都市銀行は年0.001%と考えると、高い金利です。また、ゆうちょ銀行のATMでは入出金手数料が無料です。

また楽天銀行の場合、楽天証券と口座を連携する「マネーブリッジ」を設定すると普通預金金利が年0.1%にアップします(2022年4月以降残高300万円超の部分は年0.04%)。そのうえ、無料でエントリーできる「ハッピープログラム」に申し込むと、毎月の残高や取引回数に応じて他行ATM利用手数料が最大月7回、他行振込手数料が最大月3回無料になります。

イオン銀行でも同様にイオン銀行での取引に応じて「イオン銀行Myステージ」のランクがアップ。普通預金の金利が最大年0.1%に増えるうえ、他行ATM利用手数料・他行振込手数料が最大月5回無料になります。また、イオン各店やコンビニのミニストップにあるイオン銀行のATMならば入出金手数料が無料です。

生活費の3ヶ月分が貯まったら投資をスタート

ここまでお金を貯まる仕組みを作ったら、あとはお金を貯めていくだけです。まずは100万円、次に生活費の6か月分を目標にお金を貯めていきましょう。少しずつ、確実にお金が貯まっていきます。

もっとも、お金は貯めるだけではなかなか増えていきません。生活費が3か月分貯まって、もしもの時に備えるお金ができたら、数千円程度の少額からでいいので、投資をスタートさせましょう。

年収350万円の人にまずおすすめしたい投資は、つみたてNISAを活用した積立投資です。値動きのある商品を積立投資で購入すると、商品が安いときにたくさん買い、高いときには少ししか買いません。そうすることで、平均購入単価が下がりますので、値上がりした時に利益を出しやすくできます。忙しい方でもタイミングを気にせず資産形成ができます。

つみたてNISAでは、年間40万円までの投資で得られた利益を20年間にわたって非課税にできます。つみたてNISAでは、金融庁の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)に投資を行います。手数料が安く、長期間堅実にお金を増やせると考えられる商品が揃っています。これらに投資することで、税金を節約しながら、お金を効率よく増やすことができるのです。

つみたてNISAはネット証券などでは毎月100円からスタートできます。しかし、さすがに毎月100円では増える金額も少しなので、慣れてきたら投資金額を増やしていくことをおすすめします。年収350万円ならば、毎月の貯蓄額から1万円程度はつみたてNISAに回していくといいでしょう。


以上、お金の貯まる仕組みの作り方を紹介してきました。支出をなるべく節約し、先取り貯蓄を行い、つみたてNISAで投資もスタートすることで、お金を堅実に貯めていくことができるでしょう。「お金が貯まらない」と悩んでいてもお金は貯まりませんので、今日からすぐ行動。実践することをおすすめします。

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