海砂採取の管轄境界「等距離ライン」で合意 長崎と佐賀県

 玄界灘・壱岐水道の海砂採取許認可区域の管轄境界を巡り長崎、佐賀両県の主張が対立していた問題で、長崎県は23日、総務省の調停に基づき、両県の陸地からの「等距離ライン」を境界とすることで合意したと明らかにした。25日付で協定を結び、4月1日から適用する。
 長崎県議会観光生活建設委員会で報告した。海砂はコンクリート原料など建設骨材に使われる。
 対象海域は壱岐市と佐賀県唐津市の中間付近で、明確な境界線はなかった。長崎県土木部監理課によると、長崎県は2002年10月以降、等距離ラインと「漁業取り締まりライン」に挟まれた海域も、長崎県内の業者に許認可を出していた。一方、佐賀県は08年に「境界は等距離ラインが妥当」と主張。協議は折り合わず、佐賀県が10年11月、自治体間の紛争を処理する自治紛争処理委員による調停を総務省に申請した。
 12年2月、同委員は▽10年間は長崎県が主張する漁業取り締まりラインを暫定的な境界とする▽その間に等距離ラインを基本とした新たな境界の設定に向けて協議する-との調停案を勧告。両県が受諾し、12年3月26日に成立した。
 その後、両県は課長レベルの協議会を23回開催。領海法に準じた等距離ラインの採用で合意した。25日に交わす予定の覚書に基づき、等距離ラインは漁業者の権利には影響せず、佐賀県に管轄が変更される海域で業者が採取申請をする場合、引き続き壱岐の漁業者の同意が必要となる。
 長崎県土木部監理課によると、管轄変更海域ではこれまで長崎県内業者が年間50万~60万立方メートルの海砂を採取してきた。


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