「長崎を最後の被爆地に」 ウクライナ侵攻に怒りと祈り 被爆者の思い、インスタグラムで発信

動画撮影で「暴力ではなく話し合いでの解決を」と訴える羽田さん=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 長崎平和推進協会は、ロシアのウクライナ侵攻に対する怒りや祈り、戸惑いなど被爆者の思いを写真や動画に収めてインスタグラムで発信している。「#いま世界に届けたい被爆者の言葉」と題し、これまでに8人のメッセージを投稿。ロシアが核兵器の使用さえ示唆する中、「長崎を最後の被爆地に」との被爆者の願いを内外に広げたい考えだ。
 ウクライナ情勢が緊迫化する中、被爆者と共に活動する団体として「何かできないか」と考え、9日から投稿を始めた。被爆体験の語り部を務める同協会継承部会員に依頼し、自身の思いを語る動画や直筆のメッセージを手にした写真を掲載。自動翻訳機能を活用し、多言語で内容が確認できるよう工夫した。
 長崎市の被爆者、羽田麗子さん(85)は、ウクライナ侵攻でロシアが核兵器使用をちらつかせたことに、「私たち被爆者は何をしてきたんだろう」と無力感を味わったと明かした。撮影に応じた動画では「原爆の悲惨さを目の当たりにしたからこそ、核は絶対に使ってはいけない。話し合いでの解決を」と訴えた。
 今後も随時投稿していく計画。企画した同協会の中村綾花さん(26)は「こんな世界情勢になるとは思ってもいなかった。今こそ被爆者の生の声に耳を傾ける時。若い世代も含め多くの人に届けたい」と語った。


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