金利が高い定期預金のキャンペーン、自分にとって本当にお得?「いくら受け取れるか」で考えよう

超低金利が続いています。普通預金の金利は、大手銀行なら0.001%です。「銀行に預けていても、お金がなかなか増えないな……」と思っている人も多いでしょう。

ですが、「期間限定!今なら定期預金金利5%!」というお知らせを見たら、どう思うでしょうか。まったく疑わずに飛びついてしまう人は要注意。

今回は、目先の数字に惑わされず、賢く活用するためのコツについてお伝えします。


目をひくような、魅力的な金利! さて、あなたはどう考える?

こんな広告を見かけました。あなたはどう思いますか?

<今ならキャンペーン中! 円定期預金5%実施中!>

いかがでしょうか。

「こんな超低金利時代に、5%もの金利がつくなんて!」
「しかも、円定期預金っていうことは、日本円で預ける普通の定期預金でしょ? 元本保証でしょ? 今すぐに申し込もう!」

そう思った人は、要注意です。

確かにお得には見えますが、注意書きがあるはずなので探してみましょう。よく見てみると、小さい字で「1カ月もの」「預入上限100万円」とあるかもしれません。

5%という高い金利ですが、その期間はたった1カ月だけで、100万円までだったりします。

そこで、実際に、100万円預けた場合に、自分が受け取れる金額を計算してみましょう。

100万円×0.05(金利5%)×(1/12 ※1か月分)=4,166円です。

さらに約20%の税金が引かれるので、受け取れる利子は、3,000円ちょっとです。

「預けるだけで3,000円を受け取れるなんてお得!」と確かに思うかもしれませんが、1カ月たてば、自動的に普通預金になることに注意が必要です。1ヵ月のためだけに、新しい口座を作ったり、手続きをすると、時間や労力もかかってしまいます。うっかり忘れてそのままにしていると、100万円を超低金利でずっと預け続けることになってしまいます。

それだけでなく、「3,000円プラスになったし、リッチな外食しよう!」と、予定外の外食で、5,000円も1万円も使ってしまうかもしれません。それはそれで楽しいことではありますが、金額のプラスマイナスでいえば、マイナスになってしまうのです。

この超低金利時代に、大きな金利は現実的にはありえない、と頭に入れておきしょう。それでも魅力的な金融商品があった場合は、「自分が受け取るお金はいくらかな」と具体的に計算してみてください。さらに、その行動をする意味があるかどうかも考えてみましょう。

投資信託とのセット商品にも注意

金利が高い定期預金について、よくよく見てみると、実は「投資信託」とセット商品になっているケースがあります。

例えば、「投資信託と同時購入で、定期預金金利が3%に!」といった具合です。

こちらも条件を見てみると、投資できるお金が半分ずつ(定期預金に50万円預けたい場合は、投資信託を50万円購入しなくてはならない)だったり、高い金利は2カ月や3カ月の期間限定だったりします。

「ちょうど投資信託も買ってみたかったから、いいかも!」

「しかも、定期預金の金利が高いなら、なおさらいいのでは? たとえ3カ月間だけでも、他の定期預金よりは高いし!」

と思うかもしれませんが、やはりここでも、数字でじっくり考えてみましょう。

まず、定期預金は2カ月や3カ月などの期間を過ぎると、0.001%などの普通預金になってしまうことが一般的です。

さらに、投資信託のラインナップを見てみましょう。実は、手数料が高いものばかり、というケースが多々あるからです。

手数料のなかでも、特に信託報酬(運用管理費用ともいう)といって、投資信託を持っている間、ずっとかかる手数料を要チェックです。小さな差でも、長期間投資をすると、大きなマイナス要因になってしまうからです。

全世界の株式に幅広く投資をする投資信託の手数料は、例えば、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)といった安い設定のものなら、信託報酬が0.1144%以内でもあります。一方で、あるセット商品のラインナップに入っていて、同じように「世界の株に投資する」とうたっている投資信託を見てみると、信託報酬が、1.7%ほどになっているものも見受けられます。

さらに目論見書(説明書のようなもの)を見てみると、どちらの投資信託も、投資先はアップル、テスラ、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンといった同じような銘柄が並んでいることもあります。

セット商品の定期預金金利が2%や3%と高くても、それはほんの数カ月で終わってしまううえ、投資信託の手数料がずっとかかりつづけていては、受け取った以上の利子を手数料として払い続けていくことになりかねません。

もちろん、投資のパフォーマンスが良ければ、手数料が高いものでも利益が出ますし、「銀行預金よりはたくさん利益を得られた」と感じられるかもしれませんが、手数料が安いものにしておけば、その利益はもっと増えるはずなのです。

そのため、「投資信託は単体で選び、定期預金はまた別で考えたほうがいい」というケースが多々ありますので、慌ててセット商品に飛びつかないように十分気をつけてください。

投資信託の積み立てなら、つみたてNISAがお得

次に、「投資信託の積み立てをしよう」と思ったときの口座の選び方を見ていきましょう。

どの口座を利用するかで、お得度が大きく変わる可能性があるのです。

まず、一般の投資口座の場合、利益に対して約20%の税金がかかります。10万円の利益がでたら、約2万円の税金が差し引かれるというわけです。

一方で、NISA口座(つみたてNISAなど)で同じ投資信託を積み立てた場合、同じように10万円の利益が出ても、その税金が差し引かれません。10万円の利益がそのまま受け取れるのです。

つみたてNISAの商品ラインナップは、金融庁が選んだものに限られているので、買いたいと思った投資信託が入っていない場合もあるかもしれません。でも、基本的には手数料が低めのものが選ばれているので、つみたてNISAのラインナップから選ぶのも一案です。

迷ったら、数字を使って計算してみる

「これはお得かな?」と思ったときには、実際に数字を使って計算してみることで、自分にとって良いのか悪いのか、判断がつくはずです。

とはいえ、あまり難しく考える必要はなく、足し算、引き算、掛け算、割り算でできるものばかりです。大きな字で書いてある数字だけでなく、小さな字で書いてある条件も見落とさないようにしましょう。

「実際に手にするお金はどれくらいいかな?」と一度立ち止まって考えてから、ぜひその先の一歩を踏み出してみてください。

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