大谷陥没 2.9ヘクタール埋め戻し 公共事業残土で4月着手 宇都宮

大谷石材協同組合が埋め戻しを行う陥没現場

 宇都宮市大谷町・瓦作地区の大谷採石場跡地で1991年4月に発生した大規模陥没の現場で、石材業者でつくる大谷石材協同組合が4月4日に埋め戻し工事に着手することが30日、関係者への取材で分かった。対象となるのは、陥没とその後の地盤沈下でくぼ地になった約2.9ヘクタール。陥没から31年たち、手付かずで残っていた唯一の大陥没地が埋め戻されることになった。

 現場は同市城山東小から北へ約600メートル。採石場跡地で発生した4カ所の陥没地の一つで、89年2月に発生した坂本地区と並ぶ大陥没だった。周辺には住宅もあり、地元住民からは下草火災や不法投棄などを懸念する声もあったが、埋め戻しの責任を負う採石業者の廃業や、埋め戻しの際に産業廃棄物が持ち込まれる恐れなどへの警戒感から、対策は進まなかった。一部埋め戻された跡はあるが、草木が生い茂り、現在も立ち入りが制限されている。

 組合は2016~18年度、モデル事業として県の公共残土を使用して地下の廃坑の埋め戻しを実施。土砂を地域住民に確認してもらい、安全性を担保する取り組みを試験的に行った。

埋め戻す陥没現場を指さす大谷石材協同組合の関係者=30日午後2時55分、宇都宮市大谷町

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