「佐世保の重要性増す」海自地方総監・西成人 即応、後方支援に力

陸海空自衛隊の統合的な運用などについて語る西総監=海自佐世保地方総監部

 海洋進出を強める中国や北朝鮮のミサイル発射など日本を取り巻く安全保障環境は緊迫化している。さらにロシアのウクライナ侵攻は世界に衝撃を与えた。昨年12月に着任した西成人・海上自衛隊佐世保地方総監に佐世保の役割や課題などを聞いた。

 -現状の安全保障環境をどのように捉えているか。
 中国の力による現状変更の試みが尖閣諸島などで顕在化してきている。佐世保は南西諸島などのエリアから近く、安全保障上の重要性は増している。北朝鮮も地理的に佐世保に近く、切迫した状況に即応できることが極めて大事だ。
 ウクライナ情勢はすぐに自衛隊が対応するものではない。だが「現代においてもこんな事態が起こる」ということをまざまざと見せつけられた。いつどこで何が起きてもいいように、との姿勢で訓練にも臨まねばならない。

 -着任の際に「陸海空自衛隊の統合的な運用を推進する」と強調していた。
 任務の際に「陸海空で連携する必要はないか」と念頭に置く姿勢が重要。(組織の)垣根を越えて取り組みたい。佐世保の大きな任務は後方支援。例えば大量の物を時間をかけて輸送して良いのならば海自に任せる、量は必要ないが急を要する場合は空自が担う-といったイメージ。各組織を有機的に結び付け、いかに目的を成し遂げるかだ。

 -崎辺東地区では大型艦船の係留施設や補給倉庫などの整備が進められている。
 効率よく補給ができ、後方支援の態勢が整う。整備が進んでいるのは、昨今の安全保障情勢を踏まえ佐世保の重要性が増しているということだ。

 -軍事施設は攻撃対象になるという指摘もある。
 ここに限らず基地が攻撃対象になるリスクはゼロではない。しっかりと守り切る態勢の構築が大事だと思う。

 -陸上自衛隊の水陸機動団の三つ目の連隊が、大村市に配備されることが決まった。
 (機動団の)隊員を運んだり補給物資を届けたりと海自はさまざまなバックアップができる。離島でのオペレーションを実際に見れば、新たに協力できる部分が出てくるかもしれない。

 -昨年9~12月、佐世保基地に所属する部隊などから4カ月連続で逮捕者が出た。
 じくじたる思いであり、厳粛に受け止めている。今の再発防止策で良いのかを評価、分析しながら対応していく。

 【略歴】にし・なると 鹿児島県出身。防衛大卒。海自大村航空基地には4回勤務。教育航空集団司令官、海上幕僚副長などを歴任した。佐世保勤務は初。マイブームは「ちゃんぽん」。自分好みの店を探すのが楽しみ。58歳。

© 株式会社長崎新聞社