武力に依存しない世界へ 長大レクナ政策研究報告 軍縮教育の重要性説く

軍縮教育の重要性を説く吉田センター長(右)ら=長崎市文教町、長崎大核兵器廃絶研究センター

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は、ポリシーペーパー(政策研究報告)「これからの軍縮教育 日韓の視点から」をまとめた。ロシアのウクライナ侵攻など国際情勢が緊迫化する中「武力に依存しない、より安全で平和な世界を目指した変革の実現に向け、市民の力を高めるもの」として軍縮教育の重要性を説いている。
 軍縮教育は、核兵器などがもたらす破壊的な結末への危機意識を高め、個人が自ら考え行動する能力を向上させるのが目的。核兵器禁止条約の前文にもその重要性が盛り込まれている。
 同報告はレクナの中村桂子准教授と韓国・韓信(ハンシン)大「平和と公共性センター」の李起豪(イキホ)センター長が執筆。昨年12月には両大で各約60人の学生を対象に核問題に関する意識調査を実施し、原爆投下を巡る歴史認識など日韓間で違いが見られた。
 中村准教授はアジアの若者が被爆地を訪れ、互いの歴史観などを学び合い、未来志向の平和の在り方について議論する場を日本政府に提案。学校にとどまらず幅広い層が参加できる教育の機会拡充や、ジェンダーなど多角的な視点からのアプローチも提唱している。
 29日の会見でレクナの吉田文彦センター長は「ウクライナ危機後の新たな秩序づくりに軍縮教育が力を発揮すべきで、紛争に対抗していく力としての位置付けができる」と語った。同報告はレクナのホームページで公開している。


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