30代後半で2人授かった夫婦「3人目も欲しいけど、妻が会社を辞めても大丈夫?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、共働きでともに38歳の夫婦。30代後半で2人の子どもを授かり、3人目を希望してますが、地方への引越しや、それに伴う妻の働き方の変化があり、教育費に不安があるそうです。3人目を作っても大丈夫でしょうか? FPの秋山芳生氏がお答えします。節約のポイントや投資やローンについてもアドバイスあり。


夫38歳・妻38歳、子ども3歳・1歳。結婚が遅く、高齢出産で2人の子どもに恵まれましたが、40歳を前に3人目について悩んでいます。養育費を準備できるかどうかと、妻の仕事について、住宅頭金や投資方針について相談したいです。

昨年東京から夫の実家のある地方に引っ越しました。3年以内には夫の実家近くに家を購入の予定。ローンはできれば65歳までとしたいと考えています。

夫は会社勤めですが、家業があり、それを引き継がなければならないため、いつまで続けられるか不明です。今のところ子どもが大学を出るまでは会社員の予定で、その後75歳くらいまでは家業で稼ぐ予定。

妻は引っ越しに伴い、時短勤務で、東京に通うハイブリッドワークで働いていますが、会社内では前例がない働き方で、長くは続けられないと感じています(夫の実家近くに引っ越しするとさらに通えなくなるので、働き続けることが難しくなります)。

そのため、正社員での転職も視野に入れていますが、子どもがまだ小さいためフレキシブルに働きたく(フルリモートかつフレックス)、条件に合う会社がなかなか見つけられません。もし今の会社を辞めるとなった場合に、正社員での安定収入がない中、3人目を授かっても養育費は大丈夫でしょうか。

妻は育休中に資格を取ったため、それで自営業を行うこともできます。ただ、安定性はないので、本当は正社員+副業(月5万円くらい)が理想。

子どもの教育費が膨らむ時期が50代後半になるため、それと並行して老後資金が貯められるのか、親の介護費なども加味すると心配です。

今現在は切り詰めた節約もせず、一定程度は貯蓄ができており、支出に関してはメタボ気味と自覚はありますが、働く上で節約がストレスになるため、諦めている部分もあります。今後の働き方への不安があるため、節約のアドバイスもお願いします。

【相談者プロフィール】

・女性、38歳、会社員(正社員)、年収450万円

・夫:38歳、会社員(正社員)、年収1,000万円 ・子ども:1歳、3歳

・住居の形態: 賃貸(長野県)

・毎月の世帯の手取り金額:97万円(夫70万円、妻27万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:80万円

・毎月の世帯の支出の目安:59万8,000円

・住居費:10万円

・食費:8万円

・水道光熱費:2万5,000円

・教育費:12万8,000円(2人の保育料11万5,000円含む)

・保険料:2万3,000円

・通信費:1万2,000円

・車両費: 2万円(ガソリン・高速代含む)

・お小遣い:衣服費3万円、娯楽費1万円、交際費1万円

・その他: 日用品4万円、医療費2万円、家電家具など10万円 ※毎月発生している訳ではないですが、年額を月で割り戻すとこのくらい。

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:7万円

・ボーナスからの年間貯蓄額: 80万円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):2,950万円

・現在の投資総額: 株320万円、投資信託530万円 ※内訳下記

・現在の負債総額: なし

・住宅ローン:なし

・年金:月22万円(夫婦合わせて)

・退職金(妻のみすぐに退職すると400万円)

【投資信託・保険について】

・第一子の教育費として外資保険を毎月5万積立(18歳ごろに,1300万くらいの予定)

・第二子の教育費はつみたてNISAで毎年40万円

・子ども名義で2021年からジュニアNISA毎年160万円、

・老後費用として夫10万円、妻11万6,000円の投資信託積立

・iDeCoは夫1万2,000円、妻2万3,000円積み立て中

秋山:お問合せいただきありがとうございます。ファイナンシャルプランナー兼FPYouTuberの秋山芳生です。今回のご相談者は38歳の会社員のご夫婦で、お子さんが2人いらっしゃいます。現在は世帯年収が1,400万円あるけれど、実家を継いだり、引越しがあったり、働き方を変える必要があるので不安を感じています。そして、今後の変化を踏まえて3人目の子どもをつくれるかどうかが心配な様子。今回はご質問が多いようなので一問一答形式で応えていきたいと思います。

妻が今の会社を辞める場合に、3人目を授かっても大丈夫?

理想的には子どもを3人欲しいが、金銭的な理由で悩んでいる家庭はかなり多いようです。個人的な意見ですが、「欲しいならなんとかなるからがんばってください」とエールを送りたいです。お子さんがいて、「1,000万円あげるからいなかったことにしてください」と言われて了承する親はいません。お金以上に大切な命の可能性を閉ざさないでいただければと思います。お子さんが増えたら増えた分に合わせて生活費をコントロールしていけばどうにかなるでしょう。

3年以内に実家近くに住宅を購入予定。ローンは65歳までとしたい

現在は東京から離れて、実家の近くに家を買う予定なのですね。実家の家業を継ぐことが前提だと思いますので、いつかは住んでいる家を売り払い、実家に入ることもあるかもしれません。その点を加味して、リセール可能な家を購入できるかが重要です。駅からの距離や日当たり、周辺の環境にもよるので、「ここなら誰かが欲しくなるはず」と思える場所を見極めることが大切ですね。

また、家を買う場合に大切なことは、「純資産が黒字であること」です。住宅ローンを組んだ後に当初の想定と違う状態になったとしても、住宅売却価格が住宅ローン残債より大きければ売却することが可能なので身動きが取りやすくなります。

65歳までにローンを返済するのはよいと思います。現在38歳なので65歳まであと27年です。この場合35年間のローンに比べて1カ月の支払い金額が多くなります。将来の年収も踏まえて、30%内で返済できるかを考え住宅価格を決めるとよいでしょう。

住宅頭金はいくらくらいを想定すればよい?

住宅ローンの金利が低いうちは「頭金を入れない」のが正解です。低金利で借りられれば、住宅ローン控除もあり、団体生命保険もつくので、無理に繰り上げ返済する必要もなければ、頭金を入れる必要はありません。ただし、信用情報に問題があったり収入が安定していないと審査に通りづらいので、返済能力の証明として頭金を入れる必要もあります。その場合は、100万円など、できるだけ少額にしたほうがよいと思います。

節約のアドバイスは?

手取り収入が97万円を前提に考えると、それほど無駄遣いをしている感じではありません。節約をしたいなら以下の項目が改善可能でしょう。

1)食費8万円→6万円
完全に自炊にすれば5万円以下も目指せるでしょう。しかし共働きであることからも、外食や中食も多いと思いますので、無理をしない範囲でよいと思います。

2)保険2万3,000円→5,000円
保険は入りすぎと言えます。お子さんがいるので死亡保障は必要ですが、預貯金が3,000万円を超えているので医療保険は不要だと思います。死亡保障を選ぶ場合は、収入保障保険を選ぶと必要保障額が年々少なくなるのに合わせて保障が小さくなるので、その分掛け金も少なくて済みます。

3)保育費12万8,000円(2人の保育料11万5,000円含む)→2年後3万円
長野エリアは比較的保育料が高いエリアのようです。3歳未満の場合は保育料が発生しますが、年収が高いので一人当たり5万7,500円もかかっています。満3歳の年次になるとかからなくなるので、来年からは半分ほどになるでしょう。また、下のお子さんも3歳児クラスになればかからなくなりますので、その分は貯蓄に回せるでしょう。

4)日用品4万円→1万5,000円
この費用は多いように思います。オムツ代も入っていると思いますが、一人1カ月5,000円前後でしょうから、他に使いすぎているポイントがあるかもしれません。家計の内訳を管理するために、家計簿アプリなどを活用して支出を把握するところから始めるとよいでしょう。

5)家電家具など10万→3万円
年間120万円という計算になります。かなり多いので、家計簿をつけて内訳を整理するとともに、本当に必要なものを買っているのかを見極める癖をつけましょう。支出をする前に「浪費かな?」という疑問を持って衝動買いしないようにしましょう。また、「しばらく日にちがたっても本当に必要だと思ったら買う」など、買う時のルールと、年間予算などの制限を設けて管理するとよいと思います。

上記のポイントは、それほど無理せず改善できると思います。せっかく稼いだお金は使いたいところには使い、不要な支出を削減すれば貯まりやすくなるでしょう。また、将来収入が減った場合も、その時の収入の20%を貯蓄や投資にまわしていけば老後破綻の可能性は少ないでしょう。

現金と投資のバランスは?

現在の資産は現金比率が高いですが、非課税枠の投資もフル活用しているので、無理に投資金額を増やす必要はないでしょう。むしろ、教育費は今ある現金から支払い、教育費用の貯蓄型保険を解約して、老後資金に向けた積み立て投資にまわす手もあります。

最後に、妻の職業の悩みについてですが、コロナ禍の影響もありフルリモートの会社も多くなりました。職能にもよりますが、フルリモートに対応したスキルがあれば本気で探せば選択肢は見つかると思います。また、副業もやってみるか、やらないかで大きな差が出ます。「できなかったらどうしよう」と考えるのではなく「まずやってみて、上手くいかなくても上手くいくまでやる」という前向きなチャレンジの先に収入が待っていると思います。

先ほどの支出改善ができれば、20万円以上支出を減らせます。無駄な支出を削減できれば、その分収入が下がっても、貯蓄額や投資額をキープできますので問題はなくなります。過度に不安になりすぎず、ご家族を増やすことや本当にやりたいことにお金を使いながら、不要な支出を絞ると不安も減ると思います。どこか参考になれば幸いです。

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