長崎県 まん延防止解除1カ月 新規感染再び増加 病床使用率は1割台維持

県内の1週間ごとの平均新規感染者数

 長崎県内全域に適用されていた新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が3月6日までで解除されて1カ月。新規感染者数は3月下旬から再び増加傾向に転じている。ただ病床使用率は1割台に抑えられている。データを分析し、医療体制やワクチン接種などの状況を県福祉保健部の寺原朋裕部長に聞いた。

「しばらくは増加傾向が続きそう」と話す寺原県福祉保健部長=県庁

 ■新規感染者■

 新規感染者は第6波のピークだった1月下旬~2月上旬、1日平均500人を超えた。重点措置が解除された3月第1週は335人、その後も減少傾向が続いたが、3月下旬、増加に転じた。1週間の累計は3月28日までが1463人(1日平均209人)に対し、4月3日までは1880人(同268人)で28%増加。年度替わりで人の動きが活発化していることや、飲食店への営業時間短縮要請などが解除されたことが要因とみられる。
 県によると、重点措置適用直後の1月下旬と、解除後の3月下旬では土日の人流が、長崎市浜町で約1.5倍、佐世保市の四ケ町商店街で1.2倍に増加。夜も両市の繁華街で1.5~2.4倍に増えている。
 寺原部長は「ワクチン接種がどの程度進むかにもよるが、4月下旬からは大型連休も控えており、しばらくは増加する可能性がある。飲食は4人以内。ご不便をかけるがマスク飲食をお願いしたい」と話す。

 ■ワクチン接種■

県内の病床使用率と3回目ワクチン接種率

 一方で病床使用率は1割台を維持。3回目のワクチン接種の進捗(しんちょく)が大きな要因とみられる。県内の接種率は3日時点で全国平均より5ポイント高い47.5%。65歳以上への接種率は8割を超え、医療機関や福祉施設などで頻発していたクラスター(感染者集団)は減った。
 ただ、寺原部長は「もっと頑張らないといけない」との認識だ。接種が進んでいない若年層の感染割合は高く、新規感染者のうち約6割を20代以下が占めているという。「メリットだけでなくデメリットも伝えながら接種してもらえるように努力したい」

 ■医療体制■

 県の感染レベルは3月26日に「1」に引き下げられた。指標となるのが、病床使用率などの医療提供体制だ。県は毎週、45のコロナ受け入れ医療機関に聞き取りをしている。コロナ以外の手術を先延ばしにするなど一般医療への影響が続く機関も一定数あり、注視が必要だ。

 ■BA・2■

 感染力が従来のオミクロン株より強い派生型「BA・2」への置き換わりが県内でも進む。寺原部長は「症状は(従来型と)変わらない。家に閉じこもる必要はなく、これまで同様の基本的な感染対策をしてもらいたい」と話す。


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