元DeNA須田氏、再びハマスタに 横浜商大コーチで初ベンチ入り 連絡密に指導「投手陣は伸びしろしかない」 

神奈川大学野球春季リーグの初戦でベンチ入りし、井樋監督(中央)と言葉を交わす須田幸太氏=4月2日、横浜スタジアム

 ハマのマウンドで何度もピンチを救ってきた男が指導者として横浜スタジアムに帰ってきた。元横浜DeNAの須田幸太氏(35)が2日、神奈川大学野球リーグ・横浜商大のコーチとして初めて公式戦でベンチ入り。事務職の会社員として働く傍ら、週末はユニホームを着て学生たちに自らの経験を注いでいる。

 横浜国大との春季リーグ初戦。現役時代とは反対の三塁側ベンチから、須田氏はひりつく投手戦を見つめていた。時折、メモを取りつつ、「助言程度」と投手起用に関する意見を井樋秀則監督(60)と交わした。「大学も社会人の投手も素材のレベルは変わらない」と手応えを得た様子だ。

 早大、JFE東日本を経て2011年にドラフト1位でベイスターズに入団し、主に救援投手として活躍した。19年からJFE東日本に復帰し、兼任コーチを務めていた昨季限りで引退。「指導者としての経験を積みたい」と思いを膨らませ、ことし2月に学生野球指導資格を回復した。

 自身の投球スタイルが指導の根源にある。「僕が130キロ台で抑えていたので、140キロが出なくても抑えられるということを教えたい」と制球力の向上を主眼を置く。ランメニューも一新。試合に向けた調整法として走り込む日と力を抜く日のメリハリを求めた。

 大学、プロ、社会人と数々の経験を積んできた元右腕も、学生野球の指導者としては1年生。「また一から。何を言ったらいいか」と冗談めかしながら、「感覚的に言うとミスする。うまい落とし込み方を模索中」。

 土日しかグラウンドに立てない分、平日は学生コーチと無料通信アプリ「LINE(ライン)」で密に連絡を取りながら、最善の策を探す日々だ。

 学生との接し方に難しさは感じていない。「どんどん話しかけるタイプ」。だからこそ「野球のことは学生から聞きに来てほしい」とコミュニケーションの押し引きを心掛ける。

 「投手陣は伸びしろしかない。商大のためにサポートしていきたい」と須田氏。自身も花を咲かせた横浜で教え子が開花する姿を夢見ている。

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