赤字続く佐世保市営交通船 宇久島-寺島 航路維持へ 民間委託も選択肢に

航路の維持が課題となっている佐世保市営交通船(宇久行政センター提供)

 長崎県佐世保市の宇久島と二次離島の寺島を結ぶ航路の安定的な維持が課題となっている。市営の交通船が両島を結ぶが、人口減少などの影響で赤字が続く。一方、寺島の住民にとっては生活の足となっている重要航路。市は今後、民間委託も選択肢の一つとして検討を進めていく。
 市宇久行政センター産業建設課によると、宇久島と近くの寺島を結ぶ航路は1963年に就航した。現在は北松小値賀町を結ぶ便も含め1日6便。寺島にはスーパーや医療機関はなく、住民は買い物や通院などの時に利用している。
 一方、収支見通しは厳しい。主な利用者である寺島の住民は近年1桁で推移。2020年度の運賃収入は過去10年で最も少ない106万8千円。21年度は133万2千円を見込む。航路維持には国や県の補助金が頼りで、補助金を除くと年間の赤字額は3千万~4千万円になるという。
 こうした中、市は民間委託を今後の選択肢の一つとしている。委託が実現した場合、1日1便は確実に運航した上で、住民の外出の予定に応じて船を出す方法なども想定している。
 また市は、航路を安定的に維持するための経営戦略を策定。基本方針に▽非正規職員の採用などで人件費を削減▽ダイヤ改正による減便や船舶更新時の小型化-などを掲げ、赤字の縮小を図る。同課は「住民に不自由がない形で生活の足を守る方法を模索していきたい」としている。


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