資金調達先不明に疑問も 長崎IR計画審査 佐世保市議会

IR区域整備計画の最終案で示された全体イメージ(佐世保市提供)

 長崎県が佐世保市のハウステンボスへの誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、佐世保市議会の特別委員会は14日、県がまとめたIR区域整備計画の最終案に同意する議案を審査した。最終案には資金調達先の企業が明記されず、委員から疑問の声が出たが、市は「(県が計画に添付する資料で)蓋然性(がいぜんせい)は示されている」とし、資金確保のめどは立っているという認識を示した。
 IR設置運営事業予定者の「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」などが開業に向け総額約4383億円を調達する。最終案によると、調達は事業用不動産サービスで世界最大手のCBRE(米国)が支援するが、出資企業や金融機関は示されていない。
 特別委では委員が「(IRを誘致する)大阪府・市と和歌山県は金融機関名を出している」と指摘。市は「国は(計画が確実にできる)蓋然性を求めており、それは企業名を明かすことではない」と強調。県は、計画に添付するコミットメントレター(融資・出資の意思表明書)などを企業から十分取得しており、「蓋然性は示されている」とした。
 審査では、最終案のうち、市が関係する施策や地域の合意形成などを中心に議論することを確認。ギャンブル依存症や治安、交通渋滞対策などに質問が集まった。
 議案は15日に特別委と本会議で採決する。県は市の同意と県議会の議決を得た上で、28日までに国に申請。国は最大3カ所を認定する。


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