呼吸器疾患などで連携 診療情報共有「あじさいネット」 民間2社と協定締結

包括連携協定書に調印し記念撮影する森崎会長(中央)ら=長崎市、県医師会館

 長崎県内医療機関の診療情報共有システム「あじさいネット」を運営する長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会(会長・森崎正幸県医師会長)は18日、情報通信技術(ICT)の医療活用を進める民間2社と包括連携協定を締結した。2社が把握可能な患者個々の疾患管理情報と、医療機関の診療情報とを結び付けることで、長期の病状把握が不可欠な呼吸器、循環器の慢性疾患に対する地域医療の質向上を目指す。
 同協議会と協定を結んだのは▽遠隔診療や患者の疾患管理に役立つオンラインシステム「YaDoc(ヤードック)」を提供しているインテグリティ・ヘルスケア(東京)▽ぜんそく薬の服用データを把握するシステムを運用している製薬企業ノバルティスファーマ(同)-。森崎会長と2社の代表が18日、長崎市茂里町の県医師会館で協定書に調印した。
 あじさいネットは、地域の医療機関同士が患者の同意を得て検査、診療情報をインターネット上で相互に参照し治療に役立てる仕組み。全国に先駆け2004年運用開始。3月現在で情報提供病院38、病院や診療所、薬局などの閲覧施設366、登録患者数延べ約14万8千人と国内最大規模の地域医療ネットワーク。
 ヤードックは全国約3500の医療機関が導入済みで、20年8月からあじさいネットとも連携を開始。ノバルティス社は今後、自社のぜんそく薬の服用実績データをあじさいネットで共有できる環境を構築する。このほかにも医療機関の連携や患者の疾患管理の推進に役立つデータ共有、共同活用について検討する。
 森崎会長は「医師の診療情報と患者の日々の疾患管理情報を合わせることで、さらなる医療の質向上が図られると期待している」と話した。


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