長崎県で起きた三つの事件も契機に 改正を重ねてきた少年法 改正少年法 4月1日施行

少年法改正の経過

 凶悪犯罪が起きるたびに厳罰化を求める世論が高まり、改正を重ねてきた少年法。長崎県で起きた事件も、その契機となった。
 2003年7月、長崎市で当時12歳の少年が、当時4歳の男児を誘拐し殺害し補導された。12歳は刑罰の対象外。逮捕はされず、少年審判を経て、児童自立支援施設に送致された。
 1997年に当時14歳の中学生が逮捕された神戸の連続児童殺傷事件などを受け、刑罰の対象年齢が「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げられていたが、それを下回る12歳の犯行。社会は騒然となった。
 少年の処遇に関わった元県中央児童相談所長(当時)で長崎短大の川原ゆかり副学長は「罪を犯した子どもたちは、事件直後は世間の関心を集めるが、更生に向けて本当に支援が必要なのは社会復帰した後だ。厳罰化だけが先行して、『出口』の議論が欠如している」と指摘する。
 2004年には佐世保市で当時11歳の少女が同級生を殺害し、補導された。長崎市の少年と同じく、少女も逮捕されず児童自立支援施設送致の保護処分に。この事件を引き金に、加害者の低年齢化を指摘する声が上がり、少年院送致できる年齢の下限を14歳から小学生を含む「おおむね12歳」に引き下げた。
 加害少女の少年審判で裁判長を務めた小松平内氏は既に退官。現在は弁護士として活動している。今回の改正について「『特定少年』と位置付けられた18、19歳は可塑性に富むものの、自らが犯した罪の責任を取ることも求められる年齢。処罰と更生のどちらを優先するか、事件の内容に応じて判断していくしかない」と語った。
 3度目の衝撃は14年7月。佐世保市の当時15歳の少女が同級生を殺害し逮捕された。加害少女は事件前からネコを解剖するなど「死」「殺人」への衝動を膨らませていた。15年7月、医療(第3種)少年院送致の保護処分が決定し、現在も収容が続く。
 長崎で起きた三つの事件の加害少年・少女はいずれも精神鑑定で発達障害が指摘された。14年の事件に関わった捜査関係者は「粗暴で『半グレ』のような少年の事件と、発達障害などを抱えた子どもの事件を同列では語れない。背景を見極める捜査・調査が欠かせない」とする。


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