<てくてく 東長崎まち巡り>古賀・植木の里 緑の中で深呼吸

マツやマキの木のすがすがしい緑が美しい庭=長崎市松原町、茂樹園

 「植木の里」として知られ、植木や造園職人が約400年にわたり技術を継ぐ長崎市東部の古賀地区。5月1日から古賀植木園芸組合(久保田哲雄組合長、54人)主催の「古賀植木まつり」が3年ぶりに開かれる。新鮮な木々の香りを一足早く楽しもうと、まつりの準備が進む会場の市植木センター(松原町)の周辺を散策した。
 植木業者や民家がひしめく細い路地を深呼吸しながらゆっくりと歩く。手まりのように刈り込んだツツジの生け垣が目に楽しい。また少し進むと、樹齢600年以上のラカンマキに圧倒される。庭園は職人たちが競うように丹精込めた芸術品だ。「どこの職人も『よそに負けんごと』っていう思い」と教えてくれたのは、茂樹園(せいじゅえん)の久保田満代さん(77)。庭の手入れに汗を流していた。
 市内中心部から車で30分ほど。ドライブ気分が楽しめる郊外だが、意外にも海外との縁が深い。約350年前、海難に遭った中国商人が観音さまに助けられた。中国商人は滝の観音(平間町)の導きと信じ、長崎に入港すると観音詣での後に、古賀植木を見学したり、買い求めたりした。今でいえば「インバウンド」。商売を広げ、上海やウラジオストクに支店を持つ職人もいたという。
 古賀の職人さんたちは、植木のこととなるととても冗舌だ。久保田健一副組合長(55)は「植木や造園など各分野のプロがそろっている。解決できない悩みはないので、気軽に相談を」と笑顔を見せた。
      ◇
 耳寄りな話題を探し、記者がのんびり“てくてく”まち歩き。地域の取り組みや知られざる歴史を紹介していく。

古賀植木まつり イベント日程

◎古賀植木まつり

 5月1~5日午前8時半~午後5時半(5日は同5時まで)。植木や盆栽、草花など約500種5万点を市価よりも安く展示即売。毎日午後1時からガイド付き(500円)で植木の里散策が楽しめる。最終日には破格で植木類が購入できるオークションがある。


© 株式会社長崎新聞社