『病床稼働率ずっと高い』 長崎みなとメディカルセンター・門田淳一院長 離職者増加、国は出口戦略を

オンラインで取材に応じる門田院長

 1月に始まった新型コロナウイルスの流行第6波。1月13日以降、新規感染者が100人を切ったのはわずか1日。この期間だけで約4万人の陽性が県内で確認されている。長崎医療圏(長崎、西海、西彼長与、時津4市町)の基幹病院として2年以上、患者を受け入れる長崎みなとメディカルセンター(長崎市)の門田淳一院長に医療現場の今を聞いた。

 -3カ月以上感染者が減らない。
 1月中旬以降、ずっと大変な状況。(コロナの)即応病床として43床あるが、ずっと20人前後が入院している。看護師をコロナ病床に重点配置し、その分一般病床の3割程度を縮小。救急患者や、がんの手術予定がある方などはなるべく受け入れているが、それ以外は手術を待ってもらっている。一般病床の稼働率が100%になることもあり、誰かが退院するとすぐに次の患者さんが入ってくる状況だ。

 -医師や看護師らスタッフは。
 コロナ病床もそうだが、一般診療を受け持つスタッフにも大きな負荷がかかっている。さらにこれまでの流行の波は2カ月程度で収束していたが、今回は3カ月以上続く。医療従事者は一般の方より強めの行動制限になるため、ストレス発散の場もない。心身ともに疲弊しており、「もう続けられない」と、当初予定していなかった離職が3月までに相次いだ。看護師をはじめとする医療従事者の確保が困難になり、患者さんの受け入れに影響が出始めている。

 -昨年はゴールデンウイーク後に病床使用率が実質100%を超えた。ただ、今年は国も県も強い行動制限を呼びかけていない。懸念や県民へお願いしたいことは。
 確かに今年は強い行動制限が求められていない。ただ自分たちが言っても「医療従事者だけが何を言っているんだ」「(忙しかったとしても)それが仕事だろう」という反発を受けそうだ。みんなで乗り越えようという意識が大事だと思う。そのためにはワクチン接種が重要。今までのデータを見ても接種率が高いほど感染は低く抑えられている。若い人がはしゃぎたいのは当然。「行動を自由にしたいのなら接種を」というのは医療従事者からの要望だ。

 -ワクチンで重症化を防ぎ、コロナだけでなく一般の医療への負荷を減らすことが重要ということか。
 感染者の入院リスクを減らせれば一般診療への影響も小さくなる。これがブースター(追加接種)の役割と言える。こうした流れができれば新型コロナを2類から5類相当にできるのではないか。だが、政府は「まだだ」と言い、どうしたら5類にできるのかを示さない。接種率が何%まで上がり、致死率が何%まで下がったらなどの方向性を示してほしい。一定数の感染者が出続ける中で出口をどうするのか明確にすべきだ。一般の患者さんの入院制限をいつまでしなきゃいけないのか、めどが立たない。非常に危惧している。


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