対馬博物館がオープン 「宗家文書は資料の宝庫」 開館記念しシンポジウム

対馬博物館開館を記念し開かれたシンポジウム=対馬市交流センター

 長崎県対馬市厳原町の対馬博物館は4月30日、開館。これを記念したシンポジウムが同日、同町の市交流センターであった。文化庁職員や文化財修復を担う会社社長らが、パネルディスカッションで対馬藩宗家が残した藩政記録「対馬宗家文書」の価値や、保存の意義について意見を交わした。
 宗家文書は江戸時代、朝鮮外交などを書き記した対馬藩の記録。国内外に伝わる約12万点の一部は国重要文化財に指定されている。
 パネリスト4人のうち、文化庁で指定調査に携わった地主智彦氏は「宗家文書は質量ともに、対馬だけでなく日朝外交や幕府関係を総合的に考える上で貴重な資料の宝庫だ」と話した。
 県の依頼で宗家文書の修理を担う「修理工房宰匠」(福岡県)の藤井良昭社長は修理工程や実績などを紹介。「修理は単に直すだけなく、文化財の価値を次世代につなぎわたす行為」と強調し「国県市、博物館、修理技術者、地域住民の皆で守り伝えないと文化財は残らない」と述べた。
 シンポジウムは県対馬歴史研究センターが開き、約140人が参加。宗家文書研究の第一人者である田代和生・慶応大名誉教授らによる基調講演もあった。


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