特別自治市構想 神奈川県と3政令市、見解の溝埋まらず

(左から)黒岩祐治知事、横浜市の山中竹春市長、川崎市の福田紀彦市長、相模原市の本村賢太郎市長

 政令市が道府県から独立して権限や財源の移譲を目指す「特別自治市」構想を巡り、神奈川県知事と横浜、川崎、相模原の3政令市長が6日、横浜市役所で会談した。少子高齢化や人口減少が進む中、3政令市長が効率的な行政サービスを実現する観点から特別自治市の必要性を主張したのに対し、知事は「現行制度で一層の連携・協調の取り組みを推進すべきだ」との見解を表明。双方の溝は埋まらなかった。

 一方で「住民目線」をキーワードに、持続可能な行政運営に向けた役割分担に関し、4首長で継続的に協議していくことでは合意した。

 議論の口火を切った川崎市の福田紀彦市長は、二重行政の解消や効率的な大都市経営の確立、日本全体の成長をけん引するため、特別自治市の法制化の重要性を強調。社会環境の変化を踏まえ「さまざまな行政課題に対応するには、地域の実情やニーズを把握する基礎自治体優先の原則が大事。それを支援・補完するのが県や国の役割ではないか」と問題提起した。

 対して黒岩祐治知事は、(1)県が担う総合調整機能への支障(2)政令市以外の市町村での行政サービス水準の低下(3)県有施設の移転などによる新たな費用負担の発生―などを挙げ「特別自治市の法制化は住民目線から妥当でない」との見解を改めて示した。二重行政の解消も政令市の要請に応じて必要なことは実現してきたとの認識を示し「この解消のために特別自治市という発想はぴんとこない」と反論した。

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