「子どもの力を信じて」 ダウン症の書家、金澤翔子さん母講演 玉木学園創立130周年記念事業

揮毫する金澤翔子さん(左)と母泰子さん=長崎ブリックホール

 学校法人玉木学園(長崎市、鬼塚謹吉理事長)は7日、創立130周年記念事業として、ダウン症の書家、金澤翔子さん(36)と母親の泰子さん(78)=いずれも東京在住=を同市内に招き、イベントを開いた。
 同学園は、1892年に玉木リツ氏が長崎女子裁縫学校を創立したのが始まり。現在は長崎玉成高、同校付属中学部、長崎医療技術専門学校を運営している。
 翔子さんは5歳から泰子さんに師事し書を始め、国内外で個展を開催。東京五輪・パラリンピックの公式ポスターを手がけるなど活躍している。この日は長崎ブリックホールで生徒や市民ら約1400人が見守る中、大きな筆で「共に生きる」と揮毫(きごう)した。
 泰子さんは「ダウン症の娘と共に生きて」と題し講演。ダウン症と診断された時、小学4年生で普通学級を拒否された時など何度も「闇に突き落とされた」と回想しながら、「そこには大きな光も待ち構えている」と述べた。
 「翔子は書がうまい」と話していた亡き夫の“遺言”に従い、20歳の時に初めて個展を開いたら多くの来場者が書の前で涙を流したという。「子どもの力を信じてほしい。(成長が)遅くても早くてもあまり問題ではない。生きてさえいれば絶望はない」と締めくくった。


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