児童手当、誕生月で最大11万円の差?10月から年収1200万以上は廃止に!扶養控除で不利の場合も

日本の学校は4月生まれから翌年3月生まれまでで一学年。翌年の1月から3月までに生まれた子どものことを早生まれといいます。私の息子は早生まれなので、幼少の頃は4月、5月生まれの子と比べると随分、体格や発達に差があるなと感じたものです。実は、早生まれは、児童手当や扶養控除などのお金周りも不利なのです。そこで、今回は、扶養控除のカラクリや児童手当の最新情報をお話します。


児童手当は誕生月により最大11万円も違う!

児童手当は、0歳から中学生までの子どもがいる世帯がもらえるお金です。どこの自治体に住んでいても、0歳~3歳未満までの子と小学校卒業までの第3子以降の子がいる場合は1人につき月額1万5,000円、3歳~中学生の子がいる場合は1人につき月額1万円が受け取れます(所得が高い場合は特例給付として月額5,000円となります)。

児童手当は、生まれた月からもらえ、支給期間は子どもの15歳の誕生日の最初の3月31日までとなります。つまり、いつからもらえるかは子どもによって違いますが、支給が終わるのは学年ごとに一緒のタイミングとなります。

児童手当をもらうタイミングが違うのに、支給が終わるタイミングが一緒なので、そこに不公平が生じます。

例えば、4月2日生まれの子は支給期間が191ヶ月となり208万5,000円となるのに対し、3月31日生まれの子は支給期間が180ヶ月で197万5,000円となります。つまり、3月生まれの子がいる親は、4月生まれの子がいる親よりも、もらえる額が11万円も少なくなってしまうことになるのです。

10月から年収1200万円以上は廃止に

上記の金額は通常の児童手当が支給された場合ですが、所得が高い世帯は特例給付となり、一律5,000円の支給になります。扶養する子どもの人数などにより所得制限の基準は異なり、下記のようになっています。

ただし、今年の10月から年収が1,200万円以上の場合、児童手当が廃止になります。これまでは、所得制限の限度額以上に収入があっても5,000円の支給がありましたが、今後は、年収1,200万円以上になると、児童手当はゼロに。

高所得世帯であれば、月に5,000円の支給がなくなっても困らないだろうと思いがちですが、トータルで5,000円×12ヶ月×15年=90万円の児童手当をもらえる予定だったものがもらえなくなると考えるとインパクは大きいのではないでしょうか。

なお、今回の児童手当の見直しで、支給の対象外となる子どもの数は約61万人と推計されています。手当の廃止で約370億円が捻出予定で、このお金は、待機児童対策として保育施設を整備する財源に充てられる予定だそうです。

また、注意したいのは、年収1,200万円以上の判断基準です。この年収1200万円の基準は世帯年収1,200万円ではなく、世帯の中で年収の高い人を基準に判断されます。

例えば、夫の年収700万円、妻の年収500万円の夫婦共働き世帯で世帯の合算年収が1,200万円以上の場合、これまで通り児童手当がもらえます。一方、夫もしくは妻の片働きで年収1,200万円以上の場合は児童手当はもらえないことに。

日本は累進課税制度なので、所得が多いほど多くの税金を納めることになりますし、高所得の場合、高校無償化など各種助成の対象外となるケースも少なくありません。今回の改正で児童手当も廃止となると、さらに家計負担は増えることになります。

早生まれは扶養控除でも損をする!

これまで児童手当について見てきましたが、実は早生まれやの場合、児童手当だけではなく、扶養控除でも損をします。

扶養控除とは、その年の12月31日現在で16歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合に利用できる控除。生計が同一で所得金額(収入から控除等を引いた金額)が「48万円以下」であることが条件です。

この年齢と所得の条件を満たす16歳以上の子どもがいる家庭は、38万円の扶養控除を受けることができます。

さらに、もっともお金がかかる大学生に相当する年齢(その年の12月31日現在で19歳以上23歳未満)の子どもがいる家庭については控除額が上乗せになり、特定扶養親族として63万円の特定扶養控除が受けられます。

扶養控除を受ける条件は「その年の12月31日現在で16歳以上23歳未満」。それに対し、中学校を卒業して高校1年生になった早生まれの子は、12月31日現在でまだ15歳なのです。

扶養控除の対象が16歳からなのは、15歳までは児童手当を受け取れるからです。しかし、早生まれの子の場合は、扶養控除を受けられるのが1年遅くなってしまうことになります。

でも、「早生まれの子は16歳での扶養控除が1年遅くなるかわりに、4月以降に生まれた子よりも1年長く扶養控除を受けられるのでは? 」と思う方もいるのではないでしょうか。

実はそうはいかないケースが多くあります。なぜなら、子どもが扶養控除の対象親族となるのは、子どもの年間合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の場合のみだからです。

現役で大学に入り、4年で卒業して就職した場合、対象親族の要件からは外れ、23歳時点で受けられる予定だった特定扶養控除(63万円)は受けられなくなってしまいます。

仮に所得税の税率が10%だとすると、6万3,000円損することになります。また、住民税(税率10%)についても45万円の特定扶養控除が受けられなくなりますから、4万5,000円の損になります。つまり、合わせて10万8,000円も損をしてしまうのです。

このように、児童手当や扶養控除に関しては、残念ながら生まれ月によって金額に差があるのが現状です。早生まれのお子さんがいらっしゃる場合には、こうした状況を踏まえて、今後のマネープランを立てる際の参考にしてくださいね。

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