県が国にオブザーバー参加要望へ 核禁条約締約国会議で 長崎

 長崎県は10日、国に対し、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加や、同会議の長崎市誘致を求める考えを明らかにした。県が国にオブザーバー参加を要望するのは初めて。6月に国へ提出予定の「2023年度政府施策に関する提案・要望書」に新規項目として盛り込む。
 提案・要望書案を審査した同日の県議会観光生活建設委員会で説明した。
 国は核禁条約に核保有国が参加していないなどとして、オブザーバー参加に否定的な姿勢を示している。県は、唯一の戦争被爆国としてオブザーバー参加し立場の異なる国と国の橋渡しをすることや、同会議の長崎市開催で被爆の実相に触れてもらうことを要望する。核拡散防止条約(NPT)の枠組みの中で引き続き国際的議論を主導することも求める。
 県国際課によると、長崎、広島両市と広島県は国に核禁条約の署名・批准を求め、その実現まではオブザーバー参加するよう要請している。本県はこれまで国の立場を尊重してきたが、大石賢吾知事が知事選の公約に掲げ、3月定例県議会の所信表明でも「オブザーバー参加を国に強く要請する」と明言。加えて、ウクライナ情勢などで核兵器使用リスクが高まったことなどから要望項目に加えた。
 県議会の各常任委員会は10日、提案・要望書の全74項目を審査した。委員から出された意見を踏まえ、6月に各省庁や主要政党に提出する予定。


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