ウクライナ抵抗も「犠牲つらい」 長崎大助教・高橋さん講演 「露は民主的な国つくって」

ウクライナ支援の意志を交流サイト(SNS)で表明すると、ロシアの友人から批判的なメッセージが届くと打ち明ける高橋さん=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 ウクライナ、ロシア両国民と30年以上交流してきた長崎大グローバル連携機構助教の高橋純平さん(54)が14日、長崎市内で講演した。ロシアの侵攻に対し、ウクライナの友人らは「勝利」するまで抵抗を続ける意志を固めていたと紹介。「ロシアの圧力から早く脱してほしいが、戦争の継続は犠牲が増えるということ。ウクライナの勝利を望むことも非常につらい」。複雑な心境を涙ながらに吐露した。
 高橋さんは大学でロシア語を学び、1989年に米国とソ連の民間交流事業でウクライナを初めて訪問。その後も通訳者として被爆体験を語る被爆者に同行したり、現地の民族舞踊団の来日事業に携わったりと、同国を40回ほど訪れた。
 講演では、ウクライナの国民性について「人懐っこくて、もてなし好き」と表現。ロシア語でも会話は可能だが、より連帯しようと3週間前にウクライナ語の勉強を始めたという。
 高橋さんは90年代以降のチェチェン紛争で、避難民の支援活動にも携わった。多くの民間人が犠牲になったチェチェンの惨禍を今回のウクライナの現状と重ね合わせ、「悲しいことだが、ロシア軍が(残虐行為をしていた)当時と変わっていないことの証明になっている」と語った。
 高橋さんによると、ロシア国内では現在、欧米を核兵器で攻撃するシミュレーションなどを取り上げるテレビ番組が人気という。「核兵器を使うことをこのような(当たり前の)論調で語れるロシアになっているのは、本当に恐ろしい」と嘆いた。
 一方、高橋さんはロシア人の「素顔」について、ウクライナ人と似て「人が好きで話し好き。友人や肉親をとても大切にする」と紹介。プーチン政権の宣伝工作から脱却し「早く立ち直って、より民主的な国をつくってほしい」と望んだ。
 講演は長崎平和推進協会ボランティアガイド「平和案内人」の研修の一環で行われた。


© 株式会社長崎新聞社