祖父の体験「自分事に」 家族・交流証言者 峯松さん初講話

「証言者」として門さんの体験を語る峯松さん=長崎市、長崎原爆資料館

 被爆者に代わり被爆体験を語り継ぐ「家族・交流証言者」の定期講話が12日、長崎市平野町の長崎原爆資料館であり、被爆3世の峯松絢音さん(25)=西彼時津町=が、長崎市の門隆さん(86)の体験を引き継ぎ初めて講話した。
 峯松さんは幼い頃から被爆者の祖父から体験を聞いてきたが、ひとごととしか捉えていなかった。しかし2年前、被爆75年の報道を見て「被爆者なき時代」にもひとごとで良いのか疑問が生まれた。
 「話す人がいなくなって過去の出来事になれば、また戦争が始まってしまう。今までの私みたいにひとごとと捉えている人が、考えるきっかけを作れたら」。そう思い立ち、一昨年9月の交流会に参加した。
 門さんは9歳の時、爆心地から3.5キロの銅座町で被爆、父と兄を失った。現在も被爆講話や平和案内人として活動している。
 講話は、写真や文字だけでは分かりにくいと考え、大村市の友人、古谷彩乃さん(25)に依頼した絵も使用。感情が伝わるように話し方も工夫し、「重たい話と煙たがらないで、どうすれば平和な世界が訪れるか考えてみてほしい」と訴えた。今後、市外、県外の若い人に講話をしたいと思っている。
 家族・交流証言者事業は、高齢化する被爆者の体験を継承するため市が主催。認定を受けた「証言者」は定期講話のほか、県内外で引き継いだ体験を証言している。

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