福井県福井市安波賀中島町に10月開館する福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館が6月3日、報道陣に公開された。5代当主朝倉義景の居館の一部を原寸再現した「朝倉館」など、迫力ある展示空間が整った。今月下旬から資料の陳列が始まり、戦国の世を体感できる新名所の誕生へ詰めの準備を進める。
博物館は国の特別史跡に指定されている遺跡近くに整備。鉄筋コンクリート造り2階建て、延べ床面積約5200平方メートル。壁や天井に県産スギ材を多く使い、ぬくもりを持たせた。
目玉は、朝倉館をはじめ、舟が行き来した川湊「一乗の入江」の一角を露出展示する石敷遺構、城下町を30分の1の大きさで精巧に表現した巨大ジオラマの三つ。1階のガイダンスゾーンは、朝倉氏の歴史や遺跡の見どころを紹介する映像と年表図を備え、全体像をつかめる構成。2階に基本・特別の二つの展示室を設けた。
福井県は2024年春の北陸新幹線県内開業を見据え、博物館を観光の新名所にしたい考え。朝倉氏遺跡資料館の清水邦夫館長(57)は「歴史好きだけでなく、子どもも楽しめるように工夫している。遺跡を何度も訪れている人も新しい発見、気付きがあるはず」と話した。