世界の核弾頭1万2720発 長崎大レクナが推計「軍拡の傾向続く」

世界の核弾頭数

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は3日、世界に計1万2720発(昨年比410発減)の核弾頭が存在するとの推計結果を発表した。保有9カ国のうち、全体の約9割を占める米国、ロシアとも昨年より減少、残り7カ国は増減なしだった。ただ米ロで退役・解体待ちを除く「現役」の軍用核弾頭数はほぼ横ばいで推移。レクナは「実際の核軍縮と逆行する現状が見える」と分析している。
 2013~22年の10年間のレクナの調査結果を見ると、減少傾向が続いているものの、米ロの新戦略兵器削減条約(新START)履行期限だった18年を境に両国の軍用核弾頭の削減ペースが鈍化。米国は前半5年間で850発減ったが、後半は92発の削減にとどまった。ロシアは168発減に対し後半は逆に129発増えている。
 中村桂子准教授は「新型核の開発、配備を含めて軍拡の傾向が続く。核兵器使用のリスクに拍車をかけているのが、ロシアのウクライナ侵攻」と指摘した。
 併せて発表した核兵器に使われる恐れがある世界の核物質量の推計結果(20年末時点)によると、高濃縮ウランは、広島原爆1万9600発分に相当する1254トン(昨年比76トン減)。米国の軍事用と非核保有国の保有量が減少したのが要因。分離プルトニウムは、長崎原爆9万600発分の544トン(同6トン増)。
 核弾頭数(図参照)などは各国専門機関の情報や、研究者の文献などを基に推計。データをまとめたポスターを県内の小・中・高校・大学などに配布し、平和教育に活用してもらう。レクナのホームページからもダウンロードでき、詳細なデータも掲載している。

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