南島原市長選で無投票3選した 松本政博さん(74) 持続可能なまち目指す

南島原市長選で無投票3選した松本政博さん

 〈5日告示の南島原市長選で無投票当選。3期目の市政運営について聞いた〉

 -自身初の無投票当選への受け止めは。
 大変な重責に身が引き締まる。2期8年を礎に、市民と共に知恵を出し合い、国や県、議会と連携しながら市政を前進させていく。夢と希望にあふれたまちづくりへ身を粉にして、まい進する。

 -2期目の成果は。
 「住み続けたい 住んでみたいまち 南島原」を市の将来像に掲げた。定期航路と路線バスの接続、支所や歴史民俗資料館など複合的な機能を併せ持つ「市口之津港ターミナルビル」を2020年に再整備。島鉄南線跡地の活用策として同年から「自転車歩行者専用道路」(約32キロ)の整備にも着手した。電子地域通貨「MINA(ミナ)コイン」の運用を開始し、キャッシュレス化の推進と地域経済の活性化を図っている。残念ながら、後半の2年間はコロナ禍で積み残した課題や施策もある。

 -新市発足から16年間で人口は1万4千人近く減少。高齢化率は4割を超えた。生産年齢人口(15~64歳)の減少が地域経済の「足かせ」になっている。
 一朝一夕には難しい。地理的条件に恵まれない本市の発展には、整備中の高規格道路「島原道路」の早期全線開通と、これに接続する深江町から口之津港に至る「島原天草長島連絡道路」の早期事業化が不可欠。各道路の期成会や近隣市と共に国や関係機関に強く要望していく。若者が結婚・定住しやすい環境を整えるため、引っ越し費用や家賃などに対する支援や、移住体験ツアーなどの施策も継続。定住・移住促進による関係人口を増やす。本市の強みである農業や手延べそうめん産業の活性化と産地振興にも引き続き取り組む。後継者育成や品質・ブランド力の強化にも努めたい。

 -3期目の抱負を。
 人口減少に歯止めがかからない中で、「持続可能なまちづくり」がテーマ。今後、老年人口の増加や核家族化など社会情勢の変化に伴い交通弱者の増加が予想される。利用者の予約に応じて走るデマンド型乗り合いタクシーの実証運行を10月に予定している。老朽化した旧8町の公共施設の統廃合も進める。来年度に完工する予定の自転車歩行者専用道路の利活用も図りたい。

 【略歴】まつもと・まさひろ 1948年生まれ。生家は南島原市加津佐町の農家。気になる新聞記事のスクラップが日課。座右の銘は「人間万事塞翁(さいおう)が馬」。趣味は詩吟。


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